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バーチャルクリーンルームの開発

浦野 明*1・大黒 雅之*1・森川 泰成*1・山崎 喜郎*2・長瀧 慶明*3・佐藤 康弘*3・本橋 比奈子*1

Virtual Cleanroom

Rapid Prototyping Simulation System For Planning Cleanrooms

Akira URANO*1, Masayuk OHGURO*1, Yasushig MORIKAWA*1, Yoshio YAMAZAKI*2, Yoshiaki NAGATAKI*3, Yasuhiro SATOH*3 and Hinako MOTOHASHI*1

研究の目的

クリーンルームの建設では,設計の段階から製品品質に直接影響する生産装置内外の気流・発生した微粒子の挙動・静電気などの変動要因を正確に予測し,これらの変動要因を的確に制御する構造物・生産装置の計画が必要です。気流分布などの環境物理要素を正確に予測するには空間の形状設定・メッシュ生成などの準備に多大な労力を有するため,解析対象となる空間形状が決定されない計画初期段階では,解析結果を提示することが従来困難でした。これらを解決するために,計画変更と気流解析を連動させた機能および計画案と気流・温熱・微粒子挙動・静電気等の数値解析結果を融合して表示できる機能を有するシミュレーションシステムを開発しました。

技術の説明

クリーンルームなど清浄度が要求される空間を対象に,製品品質に直接影響する生産装置内外の気流・発生した微粒子(パーティクル)の挙動を予測します。設計者・解析者・関係者が一同に会してVRの画面上で対話的に試行錯誤しながら,クリーンルームの計画案と気流の解析を表示して評価することが可能です。「建設コストはあまりかけられないが,微粒子が製品に付着しないようにするための建物・空調を計画してほしい」との要望がお客様からあった場合に,必要最小限の局所清浄空間の計画をおこなうための検討ができます。

主な結論

本研究により開発されたバーチャルクリーンルームにより,製造装置・人体からの発塵状況を可視化して把握し、製品に微粒子が付着しないようにするための空調計画・建築・製造装置のレイアウト計画に反映することができます。今後は本システムを用いて,製品に微粒子が付着しないようにするためのクリーンルームのレイアウト計画に反映していく予定です。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 エンジニアリング本部 生産施設グループ
*3 技術センター 建築技術開発部 ニューフロンティア技術開発室