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電波源位置特定システムの構築に関する検討

加藤 崇*1

A System to Pinpoint the Location of an Electromagnetic Leak

Takashi Kato*1

研究の目的

電磁シールド工事の漏えい検査において,漏えいに起因する不良箇所を短時間で特定することは非常に困難です。従来は,小型アンテナを利用して,電磁シールド材料をなぞるように測定し,漏えい位置を特定していましたが,評価にかなりの時間を要していました。その要因として,電波が目に見えないことが挙げられ,電波源の位置を可視化することにより,容易に漏えい位置を特定できると考えました。そこで,短時間で漏えい位置を特定できるシステムの研究開発を進めています。

技術の説明

短時間で正確に電波源の位置を特定するためには,高精度なアレーアンテナが必須です。本システムは,まず,漏えい電波をアレーアンテナで受信し,漏えい電波の到来方向を推定します。その際,アレーアンテナの中央に設置しているカメラにより画像を取得し,到来方向の推定結果と取得画像を合成することにより,電波源の位置を特定しています。正確に合成するためには,アレーアンテナとカメラの基点を同一とする必要があり,本検討では,それを考慮してアレーアンテナの設計から開発しました。これにより,図面情報等を一切必要とせずに任意の位置で評価が可能となります。

主な結論

現場で電磁シールドの漏えい位置を評価可能なシステムを構築しました。アレーアンテナを用いることにより,約16秒程度で漏えい位置の評価が可能となり,従来と比較して評価の短時間化が実現でき,工事全体の工程短縮にも繋がることが期待されます。また,施工後の定期メンテナンス時に評価することにより,経年変化によるシールド性能の劣化要因を特定することができます。

*1 技術センター 建築技術開発部 ニューフロンティア技術開発室