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湿式系吹付けアスベスト除去ロボットおよびアスベスト回収・減容システムの開発

実験室におけるシステム性能評価

森 直樹*1・長瀬 公一*1・市原 英樹*1・万字 角英*1・久保木 久仁彦*2・大山 能永*2・石原 哲*3

Development of Remote System to Remove, and Collect Wet Sprayed Asbestos

Evaluation of System Experiment

Naoki MORI*1, Koichi NAGASE*1, Hideki ICHIHARA*1, Sumihide MANJI*1, Kunihiko KUBOKI*2, Yoshie OYAMA*2 and Satoshi ISHIHARA*3

研究の目的

吹付けアスベストは,その防火性や断熱性,吸音性などに優れていることから,過去において,建物の天井や壁,柱,梁などに吹付施工等がなされてきました。しかし,アスベスト繊維が肺ガンや中皮腫といった人体の健康に悪影響を与える要因となることが強く指摘され,建物解体時においても,いかに安全に除去するかが急務の課題となっています。そこで,湿式系の吹付けアスベスト除去及び回収作業の大半を人間で行わず,遠隔操作によりロボットで行う,安全かつ効率的なシステムを開発しました。

技術の説明

アスベスト除去ロボットのアーム先端部には専用のアスベスト剥離装置が取付けられ,作業区域外からの遠隔操作によって,建物の各部位に吹付けられている湿式アスベストを効率良く剥離・除去します。除去した塊状のアスベストはコンベア式の移載装置によって破砕装置まで運ばれ,ラス網等の金属片をも同時に裁断して廃棄物を減容化した後,所定の廃棄袋に自動的に回収・袋詰めされます。

主な結論

模擬アスベスト(ロックウール繊維使用)を施した実験室において,アスベスト除去ロボットの除去性能を測定した結果,アスベスト除去速度が概ね15m2程度を確保できることが判りました。また,アスベスト回収システム装置の回収性能を測定した結果,廃棄アスベストの容量が,破砕装置を通過させることで,大凡1/3程度に減容化できることが判明しました。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室
*2 建築本部 技術部
*3 原子力本部 デコミッショニング部