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ゴムボール衝撃源による重量床衝撃音について

タイヤ衝撃源との比較と床仕上げ材による影響

田中 ひかり*1・田端 淳*1

Investigating the Impact Sound Insulation of Building Floors with a Rubber Ball

Comparison of Tire and Rubber Ball as Impact Sources, and the Influence of Floor Coverings

Hikari TANAKA*1 and Atsushi TABATA*1

研究の目的

重量床衝撃音の測定で現在主に使用されている衝撃源はタイヤ(衝撃力特性(1))ですが、最近では衝撃源としてゴムボール(衝撃力特性(2))を積極的に用いていこうとする動きが見られます。また評価は従来のL値(L数)ではなく最大A 特性床衝撃音レベルを用いることが議論されています。
そこで、測定法の移行に先立ち、上記2種類の測定法の関係と、ゴムボールの場合の仕上げ床による増幅量を調べました。

技術の説明

鉄筋コンクリート造の集合住宅10建物を対象としてゴムボールおよびタイヤ落下による床衝撃音を測定しました。ゴムボールによる最大A 特性床衝撃音レベルとタイヤによるL数を測定し、その関係を調べました。
また、従来のタイヤ衝撃源による測定ではコンクリート素面床の状態に対し、乾式二重床で仕上げることによって衝撃音が増幅される傾向があるため、同じ測定室に対してコンクリート素面の場合と仕上げ床を施工した場合の測定を行い、ゴムボールの場合の仕上げ床による増幅量を調べました。

主な結論

■ゴムボールとタイヤの床衝撃音の関係
ゴムボールによる最大A 特性床衝撃音レベルとタイヤによるL数との関係は直線的とはいえないため、簡単な換算はできないことが分かりました。しかし、ゴムボールのバンドごとの最大音圧レベルに補正値を加えた後にタイヤのL数相当値を算出すると、おおよその値を推定したい場合には換算できる可能性が示唆されました。
■ゴムボールの床衝撃音の仕上げ床による影響
ゴムボールの最大A 特性床衝撃音レベルは仕上げ床によって増幅あるいは減少しますが、平均的には増幅量は約0 dBでした。80 Hz以下の帯域では増幅する傾向にあるため、この帯域における増幅を大きくしない仕上げ床を用いることが、床仕上げ後の床衝撃音を低減する上で重要となることがわかりました。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室