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建物外装部材から発生する風騒音の予測・評価技術

吉川 優*1・冨高 隆*2

Evaluation of Aerodynamic Noise Emitted from Building Claddings

Masaru YOSHIKAWA*1 and Ryu TOMITAKA*2

研究の目的

近年,集合住宅の高層化や,意匠性に配慮した外装部材形状の多様化に伴い,強風時に建物外装部材から発生する風騒音の問題が顕在化してきました。風騒音が発生すると,場合によっては非常に耳障りな騒音となって住環境障害となる恐れもあるため計画段階での適切な部材選定が望まれますが,未だ問題の認知度が低い上に,設計・施工に関する基準や指針,また確立された評価手法が存在しないのが現状です。
本報告では,風洞実験技術および流体解析技術を併せて,外装部材から発生する風騒音を適切に予測・評価することを目的として各種検討法や事例を紹介します。

技術の説明

実大部材を用いた風洞実験では,風騒音の発音条件(風速および風向角)を得るとともに,周波数分析により発音特性や発音メカニズムを検討することができます。また,対象部材の設置位置において実際に発生し得る風の特性については流体解析によるシミュレーションが効果的です。

主な結論

対象とする部材の形状や気流条件によって多様な風騒音が発生することを紹介するとともに,実験計測データの分析法や流体解析の精度検証の重要性を示しました。

*1 技術センター 建築技術研究所 防災研究室
*2 技術センター 建築技術研究所 環境研究室