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機械式設備配管継手の品質管理に関する調査・研究

給水・給湯配管におけるメカニカル継手の施工管理

森田 深雪*1・生天目 泰*1・井上 和夫*2・天野 洋樹*3

Study of Quality Control for Mechanical Ftting for Piping

Quality of Mechanical Fittings for Hot and Cold Water Supply Pipes

Miyuki MORITA*1, Yasushi NAMATAME*1, Kazuo INOUE*2 and Hiroki AMANO*3

研究の目的

昨今,配管工(熟練工)の減少や工期短縮を背景に,給水・給湯配管用継手として,従来のネジ込み式継手より簡易な接合方法であるメカニカル継手が開発され多く採用されています。しかしながら,施工要領の不徹底・施工状況の確認不足などにより漏水トラブルが絶えず、最悪は脱管して甚大な水漏れ被害に至る事があるにも関わらず,継手の性能評価方法が確立されていないのが現状です。また,竣工時の水圧試験において,漏水が発見できれば再施工により漏水事故を防ぐことができますが,水圧試験では様々な要因での施工ミスによる漏水を発見することは困難です。
今回,漏水事故防止を目的に,継手機構分類や漏水事例を体系的に整理し,評価基準を策定しました。また、その事例を基にメーカー及び技術センターで施工不良を再現した実験を行い,樹脂配管・SUS配管の接合方法や概要,メカニカル継手の評価方法及び採用基準をまとめたので報告します。

技術の説明

集合住宅等で給水・給湯配管に使用されるメカニカル継手をSUS管及び樹脂管別に分類し,それぞれの仕様・規格及び施工面での特徴を判り易く整理し一覧表にまとめました。また,各継手毎に施工性を評価項目毎に採点しレーダーチャート化し評価を行ないました。継手の選定時には,この一覧表をもとに現場毎の使用用途に適合している事と注意点の確認を行なえます。この一覧表とメカニカル継手の評価の考え方をまとめて,施工の手引きとして社内に展開し,施工時の継手選定・施工管理に役立てます。

主な結論

現在販売されている多くの機械式設備配管継手は,メーカーが「少々の不良施工では漏れない機構を目指して」開発されており,竣工時の水圧試験だけに頼った施工管理では漏水事故を完全に防止することはできません。今回発行した,「集合住宅などの給水・給湯配管におけるメカニカル継手の施工の手引き」に従い,①より漏水リスクの少ない継手を選定し,②確実な現場確認を行なうことにより,漏水事故の防止に努めることが大切です。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室
*2 設備本部 設備部
*3 東京支店 建築工事作業所