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外気高効率供給タイプ天井吹出型パーソナル空調システムの開発

換気効率による評価及びトレーサーガスにCO2を用いた場合の検討

樋渡 潔*1・加藤 美好*2・三宅 伸幸*2・仁志出 博一*3・齋藤 正文*4・張本 和芳*5

Development of Highly Efficient Ventilation Type Personal Air Conditioning System with Personal Ceiling Air Outlet

Evaluation of Ventilation Efficiency and Case Study Using CO2 as Tracer Gas

Kiyoshi HIWATASHI*1, Miyoshi KATO*2, Shinko MIYAKE*2, Hirokazu NISHIDE*3, Masafumi SAITOH*4 and Kazuyoshi HARIMOTO*5

研究の目的

パーソナル空調は,①執務者の座席周り(タスク域)の効率的な空調,②各自の好みの温熱環境への自由な調整,③個別発停 が可能なため,省エネルギー性と知的生産性の向上が期待できます。当社技術センターにも導入されています。さらに今回,タスク域に重点的に新鮮な外気を供給できる空調機を開発しました。タスク域の空気環境をより清浄にできれば知的生産性の向上に,また現状と同程度の空気環境で良ければ外気削減による省エネルギー性の向上が期待できます。本研究では,新鮮外気がタスク域にどの程度効率的に供給されるか換気効率の実験で定量的に把握しました。また,換気効率の測定の際トレーサーガスとして一般的に用いるSF6は地球温暖化係数GWPが23,900と高いため,地球温暖化への影響がより少ないCO2を用いて精度の検討を試みました。

技術の説明

従来タイプの空調機では,外気はファンボックスに入る前に室内からの還気空気と混合されるため,外気は室内に均一に配分されます。今回開発した外気高効率供給タイプ空調機では,ファンボックスを経てタスク系統に分岐した後に外気が供給されるのでタスク域への外気の割合が増加します。

主な結論

タスク域に重点的に新鮮外気を供給することで,執務者の呼吸域にこれまでよりも約10%新鮮な外気を供給できることがわかりました。また, CO2をトレーサーガスに用いた場合の結果は,今回のケースでは概ねSF6の場合と同様であるという結果を得ました。

*1 技術センター 技術企画部 企画室
*2 設計本部 設備Ⅲ群
*3 国際支店 設計部
*4 (株)タイセイ総合研究所
*5 技術センター 建築技術研究所 環境研究室