波動論に基づく環境振動の簡易評価手法に関する研究

田口 典生^＊１・日比野 浩^＊１・前田 寿朗^＊２

A Simple Technique Based on Wave Propagation Theory for Evaluating Environmental Vibration

Norio TAGUCHI^*1, Hiroshi HIBINO^*1 and Toshiro MAEDA^*2

研究の目的

本研究の目的は，嫌振機器を有する製造施設や研究所等の建設において，現地測定に基づいて短時間で環境振動予測を行うための簡易評価手法を開発することです。本手法はサブストラクチャー法に基づいており，微動アレー測定の実施，地盤構造の推定，動的地盤ばねの評価，交通振動測定の実施，基礎入力動の推定，といった手順により基礎応答を推定します。一般的なノートパソコンベースのシステムで行える数分間程度の計算により1/3オクターブバンド分析で振動レベルを推定することができます。

技術の説明

本手法では，剛体基礎上の建物を対象とし，基礎位置付近に設けた複数の測定結果に平均化手法を適用して剛体基礎の基礎入力動を求めます。基礎重心の応答変位は，重心での基礎入力動に相対変位および相対回転を考慮して作成した運動方程式より求められます。また，地盤構造は，近隣のボーリングデータを元に微動アレイ観測結果を用いて修正することで推定します。実際の具体的な手順としては，基礎建設前の更地状態において，大型車両走行等の基礎想定位置での振動測定と，微動アレイ観測を行い，地盤及び基礎入力動・基礎応答を短時間で導く手順となっています。

主な結論

本簡易手法に基づき，トラック走行時の実測データを用い，地盤の推定，基礎入力動，基礎応答を求めました。この結果と，3次元有限要素法＋薄層法による詳細法により求めた基礎入力動および基礎応答結果を比較したところ，充分な精度があり，測定時に短時間で振動予測を行うことができ，有効的な手法であることが確認されました。