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UFC(ダクタル)を用いた構造物の特徴と展開

スパン50mの歩道橋から192,000m2の滑走路床版まで

武者 浩透*1・渡辺 典男*2・稲原 英彦*2・大島 邦裕*1

Feature and Application of UFC (Ductal) Structure

From the Pedestrian Bridge of the Span 50m to the Airport Runway Slab of 192,000m2

Hiroyuki MUSHA*1, Norio WATANABE*2, Hidehiko INAHARA*2 and Kunihiro OHSHIMA*1

研究の目的

超高強度繊維補強コンクリート(UFC:ダクタル)は,200N/mm2 を超える超高強度と100年以上の耐久性を有する優れた材料です。繊維補強されたUFCは鉄筋を必要としないため,部材の大幅な薄肉化と軽量化が実現できます。しかしながら,鉄筋を使用しないコンクリート構造物の実現には,まったく新しい設計手法,部材の製作技術,施工方法の開発が必要であり,大成建設は1999年よりそれらの技術開発を行ってまいりました。

技術の説明

2002年に建設した「酒田みらい橋」は,日本初のUFC橋であり,部材厚を従来の約1/5となる5~11cmに抑え,大幅な軽量化と50mのスパンを実現致しました。この際の開発技術やデータを基にして,2004年に土木学会よりUFC指針(案)が刊行され,UFC構造物の適用普及の礎を築きました。その後も開発・適用を進めており,羽田空港の再拡張工事においては,大型の道路橋や新設滑走路の床版の一部(192,000m2)にUFCを適用しております。

主な結論

UFCの材料特性(高強度・高耐久)に適した設計手法や施工方法を開発・適用することにより,これまでの常識を超える優れたコンクリート構造物がUFCにより可能となりました。その結果,UFCは橋梁や滑走路床版などへ展開されており,今後も良質なインフラ整備の一翼を担う材料として期待されております。大成建設はUFC(ダクタル)技術のパイオニアとして,UFCを活用したコンクリート構造物の新しい形を提案いたします。

*1 技術センター 土木技術開発部 土木技術開発プロジェクト室
*2 土木本部 土木設計部