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後施工プレート定着型せん断補強鉄筋による耐震補強工法の展開

Post-Head-bar工法の施工実績と適用範囲の拡大

岡本 晋*1・三桶 達夫*1・堀口 賢一*1・岡本 修一*2・中條 基*3・府川 徹*3

Implementation of Post Shear Reinforcing Methods Using Plate Anchored Shear Reinforcing Bar Technology

Examples of Application, and Extension to Large-diameter and High-strength Reinforcing Bars

Susumu OKAMOTO*1, Tatsuo MIOKE*1, Kenichi HORIGUCHI*1, Shuichi OKAMOTO*2, Motoshi CHUJYO*3 and Tohru FUKAWA*3

研究の目的

1995年兵庫県南部地震以前の旧耐震設計法によって設計され現在供用されている地下構造物の中には,レベル2地震動を受けた場合に鉄筋コンクリート部材のせん断耐力・じん性能が不足する場合があります。このような既設地下構造物に対して,効果的なせん断補強が可能な後施工プレート定着型せん断補強鉄筋「Post-Head-bar」を開発しました。本報ではPost-Head-bar工法の施工実績を紹介するとともに,Post-Head-bar工法の適用範囲を拡大することを目的として実施した,太径,高強度のPost-Head-barを使用した場合の正負交番載荷試験結果について報告します。

技術の説明

Post-Head-barは写真に示すように,鉄筋に矩形プレートと小型の丸形プレートをそれぞれ摩擦圧接で接合したものです。Post-Head-barは図に示すように主鉄筋や配力鉄筋に掛ける配置はとらずに,主鉄筋と配力鉄筋のおおよそ中間位置を削孔して後施工により配置し,専用モルタルを用いて固定するものです。Post-Head-barのせん断補強効果は,この両端のプレートによって孔内での定着性を増大させることにより,確実に発揮されます。

主な結論

Post-Head-bar は2009年4月時点で,表に示すように道路・鉄道トンネル,浄化センター,ポンプ場,浄水場,水門など,30件の耐震補強工事に適用され42,000本以上の実績があります。また,壁部材を模したはり状試験体の正負交番載荷試験により,SD345・D29(太径鉄筋)のPost-Head-barを用いた場合とSD390・D25(高強度鉄筋)のPost-Head-barを用いた場合にも,所要の耐震補強効果が確実に得られることを確認しました。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 土木本部 土木技術部
*3 成和リニューアルワークス(株)