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780N/mm2級鋼とFc150コンクリートを用いた超高強度CFT柱の構造性能評価

佐藤 英佑*1・安田 聡*1・成原 弘之*1・松本 修一*2

Experimental Study on Structural Performance of CFT Column Using Super-High-Strength Steel and Concrete

Eisuke SATO*1, Satoshi YASUDA*1, Hiroyuki NARIHARA*1 and Shuichi MATSUMOTO*2

研究の目的

近年の超高層建築物では,大スパン化や広い吹抜け空間を実現するために,より高い強度の柱部材が求められています。本研究では,設計基準強度Fc150N/mm2の超高強度コンクリートと引張強さ780N/mm2級の超高強度鋼材を組み合わせた超高強度のコンクリート充填鋼管柱(CFT柱)について構造実験を行い,実施適用のために必要な構造性能を把握するとともに,合理的な設計法を確立しました。

技術の説明

超高強度CFT柱を採用することにより,以下の利点が挙げられます。
・比較的小さい柱断面あるいは少ない柱本数で大きな建物重量を余裕を持って支持することができます。
・部材の弾性ひずみが大きいので,大地震時の大きな変形まで無損傷(弾性)を維持します。
・従来鋼を用いる場合より鋼材の板厚を薄くできるので,部材の製造・運搬・現場施工の合理化が可能です。
・780N/mm2鋼とFc150コンクリートの限界ひずみがほぼ等しいので,両者の高強度の利点を最大限に発揮させることができます。

主な結論

超高強度CFT柱を対象とした構造実験の結果より,超高強度CFT柱は層間変形角1/150までは弾性挙動を示し,1/100以上の変形能力を有することを確認しました。また,最大耐力は,鋼管とコンクリートのひずみの適合性や,断面内のコンクリートの応力分布形状を考慮し,コンクリート強度に補正係数を適用することで,日本建築学会のCFT指針を準用して評価できることを確認しました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ