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高強度鉄筋を利用したPCaPC梁の開発と適用

竹崎 真一*1・馬場 重彰*2・是永 健好*1・小室 努*3・河本 慎一郎*3・飯島 眞人*4・甲斐 隆夫*4

Development and Application of Precast Prestressed Concrete Beam with High-strength Rebars

Shin-ichi TAKEZAKI*1, Shigeaki BABA*2, Takeyoshi KORENAGA*1, Tsutomu KOMURO*3, Shin-ichiro KAWAMOTO*3, Masato IIJIMA*4 and Takao KAI*4

研究の目的

建物に求められる性能は多様化しており,耐震安全性のみならず,地球環境に配慮して,建物の長寿命化を目指す傾向にあります。このため,建物には室内の計画が自由にでき,将来の用途変更やレイアウト変更にも対応できる大スパン空間が求められています。また,設備機器の大型化や将来の設備計画の変更にも柔軟に対応するためには,大きな梁貫通孔を数多く設置する必要があります。これらを実現する技術として,当社独自のプレキャストプレストレストコンクリート(PCaPC)梁を用いたT-POP(Taisei Precast Optimized beam with Prestress)を開発しました。

技術の説明

高強度鉄筋を緊張材として用いたPCaPC梁に高強度コンクリートを使用することで,スパン20mクラスの開放的な大空間を実現できます。また,梁下端の効果的な位置に緊張力を与えることができるため,梁断面をスリム化できます。また,通常のPC梁では,梁貫通孔位置にPC鋼材があるため,大きな開口を設置することが困難でしたが,T-POPでは従来よりも大きな開口(梁せいの40%)が設置可能となり,天井内設備配管の収まりがよくなり,階高を有効に利用できます。

主な結論

構造および耐火試験により,複数大開口を有するロングスパンPCaPC梁は,建物に要求される性能を十分満足することが確認できました。これらの成果から,大成札幌ビル,みなとみらいセンタービルでは,スパン20m以上の室内に柱のない開放的なオフィス空間を実現しました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 技術センター 建築技術研究所 防災研究室
*3 設計本部 構造グループ
*4 建築本部 技術部