13

超高強度プレキャスト柱における接合モルタルの圧縮特性

今井 和正*1・服部 敦志*2・岩室 大*3・稲田 博文*3・是永 健好*1

Compressive Behavior of Joint Mortar on Ultra High Strength Precast Concrete Columns

Kazumasa IMAI*1, Atsushi HATTORI*2, Dai IWAMURO*3, Hirohumi INADA*3 and Takeyoshi KORENAGA*1

研究の目的

当社では,『T-RC+(大成建設の先進コンクリート技術)』の一環として,品質,工期,コストおよび環境配慮の点で優れているプレキャスト(PCa)化構法を,設計基準強度Fcが100 N/mm2を超える超高強度コンクリートを用いた超高層集合住宅下層階柱にも積極的に展開しています。PCa柱は接合目地にモルタルを充填することで他の部材と一体化されます。超高強度コンクリートPCa柱を対象とした場合,接合モルタルの流動性と強度の両立は技術的に困難とされていますが,柱のFcに比べて低強度の接合モルタルを用いたPCa柱であっても十分な耐震性能を有することがこれまでの構造実験で確認されています。しかしながら,そのメカニズムの解明と,施工時におけるモルタル強度管理法の確立が実施適用における課題となっていました。

技術の説明

当社では,図に示したようなコンクリートとモルタルで構成される『ハイブリッド試験体』を圧縮試験に供する独自の試験方法を考案し,上下コンクリートからの拘束による接合モルタルの圧縮強度上昇量を把握しました。

主な結論

上記試験方法による実験結果データベースに基づき,ハイブリッド試験体の強度推定法を提案しました。また,同試験体の長期載荷実験を行い,接合モルタルのクリープ性状を把握しました。さらに,Fc150PCa柱を初適用した実建物において,本試験方法を用いて接合モルタルの強度管理を行いました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ
*3 建築本部 建築技術部