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現地混合セメント止水壁の透水性に関する基礎研究

室内・現位置試料を用いたソイルセメントの透水性の調査

松井 秀岳*1・堀越 研一*1・檜垣 貫司*1・石井 裕泰*1

Permeability of Cement-treated Soil used for a Cutoff Wall

A Study of the Permeability of Cement-treated Soil using In-situ Cores and Laboratory Samples

Hidetake MATSUI*1, Kenichi HORIKOSHI*1, Kanji HIGAKI*1 and Hiroyasu ISHII*1

研究の目的

地中の汚染物質の拡散防止を目的とした地中連続止水壁を構築する方法として,現地土とセメント系固化材を地中で攪拌混合し,ソイルセメント壁を造成する方法があります。同手法は,経済性にすぐれていますが,施工方法や配合などの各種要因と,止水壁の透水性との相関が十分に把握されているとは言えません。本研究は,止水壁の要求性能に対してより合理的な配合を行うことを主目的として,ソイルセメントの透水性と各種要因の相関関係および,さらに透水性の経時変化について,検討しました。

技術の説明

既往の研究から,ソイルセメントの造成に使用するセメントスラリーのセメント水比とソイルセメントの透水性に相関関係があると言われています。しかしながら,ソイルセメントの構成要素である現地土にも多少の水が含まれています。この点に着目し,セメントスラリーに含まれる水と現地土に含まれる水をあわせた,総水量W’というパラメータに着目し,セメント総水量比C/W’とソイルセメントの透水性の関係を調べました。また透水性の経時変化に関する知見を得るために,室内配合試験で作製した供試体を用いて,複数の材齢で試験を実施しています。透水性の経時変化が確認されたため,その原因を調べるために,ソイルセメントの細孔構造についても調査しました。

主な結論

・セメント総水量比C/W’とソイルセメントの透水係数(対数で整理)に線形関係があることを確認しました。
・セメント添加量の同じ配合においても,総水量で透水係数・一軸圧縮強さが異なるという結果が得られました。
・総水量の異なる配合では,透水係数・一軸圧縮強さの経時変化の傾向が異なることがわかりました。
・ソイルセメントの細孔構造が経時的に変化していることがわかりました。
今後,長期材齢において試験を実施するとともに,試料の粒径や固化材の影響についても調べていく予定です。

*1 技術センター 土木技術研究所 地盤・岩盤研究室