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膨張コンクリートの適用によるトンネル2次覆工の温度応力低減効果

臼井 達哉*1・大友 健*2・須藤 敏明*3・大西 吉実*4・沢藤 尚文*5

The Effect on Thermal Stress of Applying Expansive Concrete to a Tunnel Concrete Lining

Tatsuya USUI*1, Takeshi OTOMO*2, Toshiaki SUDO*3, Yoshimi ONISHI*4 and Naofumi SAWAFUJI*5

研究の目的

覆工コンクリートは,トンネル軸方向と周方向のいずれもその断面の厚さに比べて延長が長く,また全長にわたって周辺地山や吹付けコンクリートに接しています。そのため,覆工コンクリートの収縮変形が拘束されることで,ひび割れが発生しやすい構造となっています。本研究では,夏期に施工する実際のトンネル2次覆工に,膨張コンクリートを適用し,現場計測を行い,温度ひび割れ低減効果と背面の拘束状態を定量的に評価しました。

技術の説明

膨張コンクリートは,覆工コンクリートの高品質化を図ることのできる温度ひび割れ抑制対策の1つとして,大いに期待されています。膨張コンクリートでは,材齢初期のコンクリートの膨張を周囲の岩盤・コンクリート等で拘束することにより,圧縮応力のケミカルプレストレスが導入されます。このケミカルプレストレスにより,温度収縮や自己収縮などによって発生する引張応力を低減し,温度ひび割れを抑制することができます。

主な結論

膨張コンクリートをトンネル2次覆工に適用することにより,普通コンクリートと比較して,脚部においては0.3~0.5N/mm2程度の引張応力が低減し,最小ひび割れ指数は0.3~0.8程度大きくなることが確認されました。
また,引張応力の発生する脚部のみに膨張コンクリートを適用することで,ひび割れ低減効果が得られる可能性があることが明らかになりました。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 土木本部 プロジェクト部
*3 横浜支店 土木工事作業所
*4 関西支店 土木工事作業所
*5 土木本部 土木設計部