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コンクリートの乾燥収縮ひび割れ対策に関する検討

黒岩 秀介*1・並木 哲*1・飯島 眞人*2

Study on Control of Drying Shrinkage Cracks in Concrete

Shusuke KUROIWA*1, Satoru NAMIKI*1 and Masato IIJIMA*2

研究の目的

ひび割れに関する社会的関心は高く,また日本建築学会の建築工事標準仕様書JASS 5の改定においてコンクリートの乾燥収縮率が新たに規定されたこともあり,今後も乾燥収縮ひび割れ対策が重要な品質管理項目になると考えられます。本研究では,コンクリートの乾燥収縮に及ぼす調合要因の影響や収縮ひび割れ対策の効果などについて検討しています。

技術の説明

コンクリートの乾燥収縮に及ぼす調合要因の影響を明らかにするために,乾燥収縮への影響が大きいとされる単位水量,水セメント比,骨材の種類,粗骨材量などを変動要因とする34調合の実験検討を行いました。また,コンクリートの乾燥収縮が骨材によって異なるのは,骨材自身の剛性や収縮などによるものと考えられていますが,このような骨材の特性を迅速に評価する方法の確認を行いました。さらに,鉄筋により乾燥収縮を拘束し,ひび割れ抵抗性を確認する実験(収縮拘束ひび割れ試験)を行い,膨張材などによる対策の有効性について検討しました。

主な結論

乾燥収縮に及ぼす調合要因の影響に関する実験から,①単位水量や粗骨材量の影響は小さいこと,②石灰石骨材による収縮低減効果は細骨材,粗骨材のいずれにも認められること,③収縮を大きくする骨材と小さくする骨材を混合使用する場合は比率に応じて乾燥収縮率が変化すること,などが明らかになりました。
また,骨材の迅速評価試験から,①試験値とコンクリートの乾燥収縮率に良い相関が認められること,②2週間での評価が可能であること,などが確認できました。
さらに,鉄筋による収縮拘束ひび割れ試験から,①骨材の種類によって引張応力は1.5倍程度異なり,ひび割れを生じさせることがあること,②乾燥収縮の大きいコンクリートに収縮低減型減水剤を用いた場合,応力の低減効果は認められるもののひび割れ抑制には至らないこともあり,骨材選定が重要であること,などが分りました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 建築本部 技術部 建築技術部