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超高強度プレキャスト鉄筋コンクリート構真柱の開発と超高層建物への適用

山本 佳城*1・服部 敦志*2・宮田 哲治*3・陣内 浩*1・青山 高久*3・渡邉 悟士*1・寺内 利恵子*4

Development of Top-down Construction Method Using Precast Ultra-high Strength Concrete for Basement Columns and Application to a High-rise Building

Keiki YAMAMOTO*1, Atsushi HATTORI*2, Tetsuji MIYATA*3, Hiroshi JINNAI*1, Takahisa AOYAMA*3, Satoshi WATANABE*1 and Rieko TERAUCHI*4

研究の目的

鉄筋コンクリート構造物の逆打工法では,逆打躯体を仮設的に支持する構真柱として,通常は鉄骨柱が利用されます。ここで,この構真柱をプレキャストRC柱とすることにより,これを本設躯体としてそのまま活用できるようになるため,地下工事の更なる合理化を図ることができます。しかしながら,超高層建物の場合では地下柱が大型化するために,構真柱をプレキャストRCにすると部材重量が増大し,建込みが困難となります。このような問題に対して,コンクリートの高強度化による部材断面の縮小効果を利用したHSPC(High Strength Precast Concrete)構真柱を開発し,超高層建物へのプレキャストRC構真柱の適用を可能にしました。

技術の説明

HSPC構真柱では,プレキャストRC構真柱に超高強度コンクリート(実施適用例では設計基準強度[Fc]100N/mm2)を適用することにより,所要の構造性能を確保するための部材断面を縮小させ,施工時の部材重量を大幅に低減させています。また,構真柱のプレキャスト化により仮設鉄骨量が削減されるほか,部材断面の縮小により,主にコンクリートの使用量が削減されるため,構真柱の構成材料に起因するCO2排出量が抑制されます。

主な結論

HSPC構真柱の製造と施工方法を確立させ,超高層建物の逆打工法としては国内初となるFc100N/mm2のプレキャストRC構真柱を適用しました。これにより,超高層建物における地下工事の品質向上,工期短縮および省力化などが期待できます。また,超高強度コンクリートを採用することにより,高品質・高耐久な構造体とより自由度の高い地下空間を創生するとともに,環境負荷低減にも貢献します。
本技術は,(財)国土技術研究センター「第11回国土技術開発賞(入賞)」を受賞いたしました。

*1 技術センター 建築技術技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ
*3 東京支店 東池袋四丁目第2地区市街地再開発作業所
*4 建築本部 技術部