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設計基準強度160N/mm2の高強度プレキャスト柱の製造と品質管理

陣内 浩*1・山本 佳城*1・渡邉 悟士*1・服部 敦志*2・寺内 利恵子*3・宮田 哲治*4・森 康浩*4

Production and Quality Control Testing of High-Strength, Precast Concrete Columns Made with 160MPa Concrete

Hiroshi JINNAI*1, Keiki YAMAMOTO*1, Satoshi WATANABE*1, Atsushi HATTORI*2, Rieko TERAUCHI*3, Tetsuji MIYATA*4 and Yasuhiro MORI*4

研究の目的

本研究では,より広い居室を持つ超高層RC造住宅を実現すると同時に,環境配慮の面でもメリットのあるプレキャスト化を推進すべく,自社工場で日本で最も高い設計基準強度(Fc)となる160N/mm2の高強度プレキャストコンクリート柱を開発いたしました。本報告では,この柱を実際の建物に適用した事例についてご紹介します。

技術の説明

コンクリートの高強度化は,建物を高層化できるようになっただけではなく,柱の本数を減らし,従来の鉄筋コンクリート造よりも超高層建築に大空間を取り入れることを可能としました。当社では,このような高付加価値の鉄筋コンクリート造を長年にわたり精力的に研究し,T-RC+というパッケージ技術としてご提案しております。
本報告でご紹介する技術では,自社開発した高強度結合材,独自の骨材管理法で選ばれた良質な骨材などを組み合わせた水結合材比14.5%のコンクリートで,設計基準強度160N/mm2を達成しました。このコンクリートでは,これまでの研究で蓄積された,収縮量の抑制,火災時の爆裂対策なども行っています。また,水和熱による部材断面内での内外温度差についても,柱側面への保温材の設置によって合理的に抑制し,温度ひび割れ対策を行っています。

主な結論

超高層RC造住宅への適用としては日本最高強度となるFc=160N/mm2の高強度プレキャスト柱の製造と品質管理を行いました。この結果,フレッシュコンクリートに要求される良好な特性と,設計基準強度を満たす部材強度を確保できるコンクリートを安定的に製造管理することができました。今後は,単に構造計算上,耐久性上の観点だけでなく,様々な視点で高強度コンクリートを用いたプレキャスト部材の有効利用について検討したいと考えています。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 設計本部 構造グループ
*3 建築本部 技術部 建築技術部
*4 東京支店 東池袋四丁目第2地区市街地再開発作業所