ごあいさつ
辻田 修

ここに大成建設技術センター報第42号をお届けします。

米国のサブプライムローン問題の深刻化に端を発した世界的な金融市場の混乱は,その後の世界経済に大きな打撃を与えました。日本の経済状況を見ると,いまだ確実な景気回復の段階には至っておりません。 その中で,先の衆議院選挙の結果,政権交代が行われ,新たな政策が打ち出されています。特に,二酸化炭素など温室効果ガスの排出を2020年までに1990年比25%削減する方針が正式に発表されました。これは,建設業を含め,国内の企業活動に大きな影響を与える政策です。
一方,自然界に目を向けると,今年も国内外で多くの自然災害に見舞われました。地球温暖化の影響とも考えられる集中豪雨による山間部での土石流被害,都市部での洪水被害が起こっています。また,南太平洋・サモア諸島とインドネシア・スマトラ島沖の地震により大きな被害が発生したことは,まだ記憶に新しいところです。今後いつ起こっても不思議はないとされている東海・東南海・南海の大地震や首都圏直下型地震では大きな被害が想定されており,減災の必要性が叫ばれています。

弊社の技術開発部門は昨年創立50周年を迎えました。これを機に,今年4月に記念事業として技術フェアを開催し,これまでの50年の技術開発の歴史に加えて,これからの50年に向けての取り組みの一端を紹介いたしました。技術フェアでは,「環境」と「安全・安心」をメインテーマとして,技術展示,セミナーおよび施設見学会などを開催し,多くの方々にご来場を賜りました。 弊社は,「人がいきいきとする環境を創造する」という経営理念の下,安全で快適な社会基盤と生活環境の整備を行い,社会に貢献することを目指しています。これまで,時代の移り変わりと共にその時代のニーズに応えた最前線の先進技術を提供してまいりました。そして今後も,時代を超え未来を見据えた新しい技術を開発し進化させる所存です。

今回,当技術センター報第42号では,「研究開発部門創立50周年記念特集号」として,弊社における「最新の先進技術」をご紹介いたします。「材料」,「構工法」,「防災」そして「環境」の大きく4分野に分類して弊社における技術としてまとめました。

皆様におかれましては,この技術センター報をご高覧いただき,ご指導ご助言を賜りますとともに,ご活用いただきますようお願い申し上げます。