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スリット状接続構造の電磁シールド性能向上化技術に関する検討

吉野 涼二*1

Investigation for Improvement of Electromagnetic Shield Effectiveness of Slit-shaped Joint Construction System

Ryoji YOSHINO

研究の目的

電磁シールド材料の接合方法の一つとして「導電性板状材料間の重ね部をビス等により一定間隔で固定する方法(スリット状接続構造と略記)」があります。現在,このスリット状接続構造の電磁シールド性能を定性定量化し,さらにこれらの構造で構築された電磁シールド室の空間性能設計技術の確立に関する研究を行っています。この度その一環として,当該構造の電磁シールド性能向上化を目的とした,実用的なスリット状接続改良構造の提案とその効果に関する検討を行いました。

技術の説明

これまでの研究により,スリット状接続構造の電磁シールド性能は,「スリットの全長」「ビス等による固定の間隔」「重ね合わせの幅」「重ね合わされた材料間の導電性能の程度」「同部位の(施工不良により発生する)隙間の程度」の組合せにより決定されることがわかりました。改良構法の開発に際して,これらの知見を基に同構造の「重ね合わされた材料間の導電性能の確保」「同部位の隙間の低減」を達成するための複数の改良案を検討しました。

主な結論

検討の結果,重ね合せる片方の材料端部を内側(もう一方の材料と重ねる側)に,適切な幅で折り曲げること,およびその時の「ビス等による固定間隔」を適切な値とすることで,高い性能を達成できることがわかりました(~1GHzにて100dB以上)。また,板状材料がそれぞれ繋がって施工される場合,通常では4枚重ねとなる隅部についても同部位の各材料形状と施工順序を工夫することで2枚重ねの仕様を実現し,かつ性能の低下を殆ど防ぐことができました。今後,実際の現場において当成果を適用し,実用化したいと考えています。

*1 技術センター 建築技術開発部 ニューフロンティア技術開発室