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躯体水槽の水中音に起因する固体音低減工法

増田 潔*1・佐々木 晴夫*2

Reduction of Structure-Borne Sound Produced Underwater in a Concrete Pit

Kiyoshi MASUDA and Haruo SASAKI

研究の目的

地下ピットなど躯体をそのまま受水槽や蓄熱槽,ディスポーザー処理槽として使用する場合,水中ポンプやばっ気エア(気泡)などにより発生する水中音が振動として建物躯体に伝わり,固体伝搬音として居室に放射されることがあります。そこで,水中音が躯体内の振動に変換されるメカニズムを理論的に把握し,効果的な対策工法を構築することを目的に研究を実施しました。

技術の説明

水とコンクリートはそれらの密度や音速が近い値をとるため,振動が相互に伝わりやすい関係にあります。したがって,これらの間に密度や音速が大きく異なる材料を挿入すれば水からコンクリートに伝わる音・振動を低減できます。挿入する材料は通常は軽い弾性材料が好ましいのですが,水深が深く高い水圧がかかる場合や,汚水槽など使用環境が厳しい場合は耐久性の観点から長期間使用することは困難です。そこで,耐圧性と弾性を兼ね備えた材料の表面を防水防食材で覆う工法を開発しました。また,挿入する材料の密度,弾性率,厚さを与えれば,その振動の低減効果を予測することができる予測式を構築し,設計時に詳細な検討ができるようにしました。

主な結論

予測式は様々な挿入材料に対して高い予測精度をもつことが分かりました。さらに,開発した低減工法は高い低減効果が得られることが示されました。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*2 建築本部 技術部 建築技術部