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ゴムボール(JIS A 1418-2衝撃特性(2))による重量床衝撃音の予測方法に関する検討

最大A特性音圧レベルの予測

田中 ひかり*1・田端 淳*1

Calculation of Impact Sound Insulation of Building Floors with Heavy/Soft Impact Source

Prediction of A-weighted Maximum Sound Pressure Level

Hikari TANAKA and Atsushi TABATA

研究の目的

集合住宅の床衝撃音遮断性能のうち,重量床衝撃音の遮断性能は床の仕上げ材によって改善することは難しく,スラブの厚さや寸法,梁との距離など躯体の構造によっておおよその性能が決定します。したがって,設計時に予測を行い適正なスラブ厚などの設定を行うことが重要です。
現在の床衝撃音の測定方法で,主に使用されている衝撃源はタイヤ(衝撃特性(1))であり,バンド最大音圧レベルを評価基準と比較することにより評価値を求めます。しかし,日本建築学会などの学会では衝撃源としてゴムボール(衝撃特性(2))を積極的に用いていこうとする動きが見られます。評価方法は現在のところ未定ですが,最大A特性音圧レベルが用いられることが示唆されています。そこで,最大A特性音圧レベルによる評価予測の可能性を探るため,現場で実測したデータを用いて検討を行いました。

技術の説明

当社で開発した併用法を用い,ゴムボールによる床衝撃音の最大A特性音圧レベルの予測の検討を行ないました。併用法とは,有限要素法によってコンクリート床スラブの振動を算出し,そこから放射する音を算出する予測手法です。集合住宅の設計時に最適なスラブ厚などを選定し,快適な居住環境を作るめに役立つ技術です。

主な結論

実測値と3dB以内の差で予測できました。さらに,A特性の補正を行う際のバンド幅や,取り扱う周波数の範囲の選定が予測の精度に大きく関わることが分かりました。

*1 技術センター 建築技術研究所 環境研究室