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耐火セグメント継手部における火災時挙動の実験的および解析的研究

市原 三馨*1・水野 敬三*2・道越 真太郎*2・丸屋 剛*1

Experimental and Analytical Study on the Behavior of Fire-resistant RC Segment Joints under High Temperature Fire Conditions

Mika ICHIHARA, Keizou MIZUNO, Shintaro MICHIKOSHI and Tsuyoshi MARUYA

研究の目的

シールドトンネルの二次覆工の省略化に伴い,セグメント自体に耐火性を持たせることが要求されています。耐火セグメントはコンクリートに有機繊維を混入することで耐火性能を高めたものですが,火災時の継手部の挙動には不明確な点があり確認する必要があります。本研究では,耐火実験を行うことにより,耐火セグメント継手部の火災時の挙動を把握するとともに,高温加熱による材料の力学特性の変化を考慮した解析モデルを開発し,実験データとの比較検証を行うことにより,適切な解析手法を検討することを目的としています。

技術の説明

実験的研究では,実大平板模型を用いて載荷加熱実験および残存耐力把握実験を行い,耐火セグメント継手部の火災時の挙動の把握と火災後の残存耐力を把握しました。解析的研究では,耐火セグメント継手部の載荷加熱実験を対象とし,熱伝導解析によりコンクリート内部温度を計算した後,その温度結果を用いて熱応力解析を行なうことによってコンクリートの火災時の挙動をシミュレートしました。コンクリートの温度と作用応力に関する依存性を考慮した力学特性を高温圧縮試験と定圧昇温試験から定量化し,熱応力解析の条件とすることによって,継手部という特殊な部位においても高い解析精度を有することを実証しました。

主な結論

実大平板模型の耐火セグメントの継手部は許容応力状態かつRABT加熱条件下において,爆裂は発生せず崩壊しませんでした。また、コンクリートの高温時の温度と作用応力に関する依存性を考慮した熱応力変形解析を用いて,耐火セグメント継手部の火災時の挙動を適正に評価できました。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 技術センター 建築技術研究所 防災研究室