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ボイド内部における外装材用風荷重の検討

相原 知子*1・浅見 豊*1

Examination of Wind Load on Cladding in a Void

Tomoko AIHARA and Yutaka ASAMI

研究の目的

近年ボイドを有する高層建築物が多くみられますが,外装材用風荷重算定において,国内の基準にはボイド内の風荷重は定められていません。そのため,ボイド内部の風圧性状を把握する事を目的とした論文が発表されており,ボイド上層部の風圧においては,他の層に比べて大きな風圧が発生することや,屋根面の風圧性状と関連性が強いことが報告されています。そこで,ボイドの開口が屋根面のみにある場合および屋根面と壁面にある場合のボイド内部における風圧性状と,屋上に設置した目隠し壁や庇などの付属物がボイド上層部に与える影響について把握する事を目的として風洞実験を行いました。

技術の説明

建築物の外装材用風荷重は,設計速度圧(建築基準法では建物頂部高さにおける再現期間50年相当の平均速度圧[N/m2]を最低基準として定めています)にピーク外圧係数を乗じることで求めることが出来ます。このピーク外圧係数は,建物の形状や規模等によって異なるため,風洞実験結果を用いるのが理想的です。風洞実験に用いる模型の表面には数百点もの風圧測定孔が設けられており,建物の各部位に作用する風圧の波形を得る事ができます。得られた風圧は模型頂部相当高さにおける平均速度圧で基準化し,その波形のピーク値がピーク外圧係数となります。

主な結論

風洞実験により開口条件の異なるボイド内部の風圧性状および屋上に設けた目隠し壁や庇がボイド上層部に与える影響を調べた結果,以下の事が明らかとなりました。
(1) ボイド内風圧分布は,ボイドの開口が屋根面のみにある場合に比べ壁面にも開口がある場合の方がピーク外圧係数の絶対値は大きくなる傾向がありました。
(2) ボイド内上層部のピーク外圧係数は他の層に比べて絶対値で大きい値を示す傾向が見られました。
(3) 目隠し壁や庇を屋上に設けることにより,ボイド内上層部に発生する大きな風圧を正圧側で最大約80%,負圧側で最大約30%低減させる効果がありました。

*1 技術センター 建築技術研究所 防災研究室