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ダクタル部材の接合方法および低桁高部材の製作方法の開発

豊田市総合体育館歩道橋への適用例

大島 邦裕*1・田中 浩二*2・稲原 英彦*3

Development of Jointing Method for Precast Segments; Development of Shallow Girder

Application to the Toyota Pedestrian Bridge

Kunihiro OSHIMA, Koji TANAKA and Hidehiko INAHARA

研究の目的

従来のダクタルを用いたプレストレストコンクリート橋では,接合面の精度を考慮し,部材同士の接続部に,現場で練混ぜたダクタルを打設するウェットジョイント工法が採用されてきました。しかし,ダクタルの練混ぜ設備や強度発現を促す養生が必要となり,架設工程の長期化あるいは架設コストが高くなることもあります。そこで,これらを低減するために,従来より簡易に部材を接合できるドライジョイント工法を開発しました。また,上部工の軽量化だけでなく,建築限界等の制約により桁高が制限された箱桁断面の場合,セグメント製作時の内型枠の脱型効率が悪くなります。そこで,ダクタルを用いた低桁高断面の内型枠を効率的に脱型できる技術を開発しました。

技術の説明

セグメント同士を直接接合するためには,セグメントの面精度を高める必要があります。そこで,この面精度を確保できる新発想の型枠を開発しました。従来のセグメントは旧セグメント端面を妻型枠として使用しますが,開発した型枠は,旧セグメント端面に高い面精度を有するゲージ鋼板を設置し,この面を妻型枠として新セグメントを製作する構造としています。このゲージ鋼板を使うことにより,セグメントは常に一定の断面寸法が確保され,さらに高い面精度を有することから,完成したセグメントの端面形状を常に一定とすることができます。また,低桁高の箱桁断面の製作方法として,内型枠に,ダクタル部材の製作時の特徴である高温の蒸気養生を利用した熱収縮型枠を考案し,これを使用することで,製作時に自動脱型できる技術を開発しました。

主な結論

この型枠構造により製作されたセグメントは,セグメント同士を直接接合可能な精度を確保できることを確認しています。今回,開発した技術は豊田市総合体育館横断歩道橋に適用し,技術の実証をしています。

*1 技術センター 土木技術開発部 土木技術開発プロジェクト室
*2 国際支店 土木部 土木積算部
*3 土木本部 土木設計部