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DubaiにおけるC100コンクリートの適用性試験

黒岩 秀介*1・井上 善尊*2・藤岡 健介*2・並木 哲*1

Performance Confirmation Tests on C100 Concrete in Dubai, UAE

Shusuke KUROIWA, Yoshitaka INOUE, Kensuke FUJIOKA and Satoru NAMIKI

研究の目的

UAEのDubaiでは,現在,鉄筋コンクリート造による超高層建物が多数建設されています。Dubaiで使用されるコンクリートの最高強度クラスはC85程度でしたが,超高層建物には高強度コンクリートを使用する利点が多々あります。そこで,現地材料を用いたC100コンクリートについて,フレッシュコンクリートの性状や硬化後の基本物性,実大鉄筋コンクリート柱試験体での構造体コンクリートの強度発現性などを調査し,その適用性を検討しました。
※:Dubaiでは立方体供試体により圧縮強度が区分されています。立方体供試体によるC85は,円柱供試体を用いる日本の設計基準強度70N/mm2に概ね相当します。

技術の説明

C100コンクリートは,現地の材料を使用し,現地のコンクリート工場で製造しました。
試験項目は,
 (1)フレッシュコンクリートのスランプフロー,空気量,単位容積質量及び凝結時間
 (2)圧縮強度及びヤング係数
 (3)自己収縮ひずみ
 (4)線膨張係数
 (5)クリープ
 (6)火災時の爆裂抵抗性
 (7)塩化物イオン浸透性及び透水性などの耐久性
 (8)実大鉄筋コンクリート柱試験体での構造体コンクリートの強度発現
などとしました。また,(1),(2),(7),(8)については,現地の試験機関にて現地の規準で試験を行い,その他の項目については,試験体を空輸し,当社技術センターにて試験を行いました。

主な結論

実験の結果,選定した調合を用いれば,フレッシュコンクリートの経時変化は小さく,硬化コンクリートの力学及び耐久特性も良好であること,実大実験においては十分な施工性を有し,コアボーリングにより採取した供試体の圧縮強度やヤング係数もC100クラスとして満足できるものであることなどを確認できました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室
*2 国際支店 アルマスタワー建築工事作業所