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国道1号原宿交差点立体工事でのCO2排出量の評価

村田 裕志*1・畑 明仁*1・宮原 茂禎*1・大脇 英司*2・加納 宏一*3・佐々木 俊伸*4・宮地 孝*4

Assessment of CO2 Emissions from Construction of Underpass at Harajuku Intersection on National Route 1

Hiroshi MURATA, Akihito HATA, Shigeyoshi MIYAHARA, Eiji OWAKI, Koichi KANOH, Toshinobu SASAKI and Takashi MIYAJI

研究の目的

近年,地球環境保全への関心が急速に高まってきています。2005年の京都議定書発効により,我が国も2012年までに温暖化ガスの排出量の6%削減(1990年を基準として)が義務づけられており,建設分野においてもCO2排出量の削減が急務となっています。こういった背景から,土木工事におけるCO2排出量を把握することを目的として,神奈川県内の国道1号の原宿交差点立体工事における1期工事(下り線構築時)を対象としてCO2排出量を調査しました。

技術の説明

この工事は国道1号の原宿交差点をアンダーパス化するもので,アプローチ部(W型RC擁壁),RCボックスカルバート部とハーモニカ工法部の3区間に大別されます。ハーモニカ工法とは,小型の掘削機と矩形の鋼殻で施工した小断面のトンネルを結合して,大断面のトンネルとする非開削工法です。CO2排出量の評価に当たり,ハーモニカ工法部の鋼材や鉄筋・コンクリートといった材料の製造時,建設資材の輸送時,重機の稼動や電力消費などの施工時,廃棄物処理時でのCO2排出量をそれぞれ算出しました。

主な結論

原宿交差点立体工事の1期工事でのCO2排出量は約4600tでした。その内の鋼材やコンクリートなどの材料の製造時における排出量が約75%を占めていることが分かりました。さらに,材料内での内訳を見ると,鋼材に起因するものが53%,セメント系材料に起因するものが46%でした。また,本工事ではレディーミクストコンクリートのほとんどに高炉セメントを使用しています。ここで,高炉セメントの代わりに普通セメントを用いたと仮定すると,CO2排出量は5400tに増加すると試算され,高炉セメントを使うことで約15%のCO2排出量を削減できたと言えます。

*1 技術センター 土木技術研究所 土木構工法研究室
*2 技術センター 技術企画部 企画室
*3 技術センター 土木技術開発部 土木技術開発プロジェクト室
*4 横浜支店 原宿立体工事作業所