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PCa部材を用いた高層RC建物の施工

並木 哲*1

Advantages of Precast Frame Construction for High-Rise Buildings

Satoru NAMIKI

研究の目的

近年,都市部を中心に多くの超高層集合住宅が建設されています。超高層集合住宅は,強風時に揺れにくい,振動音が伝わりにくい,経済的であるなどの理由から鉄筋コンクリート(以下RC)造で建てられることが多いです。これらの超高層RC造建物を設計・施工するにあたり,一般の建物と比較して環境への影響がどの程度なのかを,建物の寿命と施工方法の2点から検討しました。

技術の説明

当社では,高強度コンクリートの研究を1980年代からはじめ,現在では150N/mm2のコンクリートを用いて超高層RC造建物の施工を行っています。高強度コンクリートを用いることで,柱の断面を小さくし,柱の間隔を大きくすることが可能となります。これにより,居室内の間取りを自由に取ることができ,家族構成の変化などにも対応できます。また,高強度コンクリートにより長寿命な建物を作ることができます。当社で施工する超高層RC造建物では,RC積層工法が採用され,柱や梁を工場で製作し現場で組立てるプレキャスト(以下PCa)工法を用いています。この工法は,建設現場で発生する廃材を減少させ,現場への資材の搬入搬出量も少なくなり環境に優しい工法であることが確認できました。また,当社はPCa工場も保有し厳密な管理のもとに,PCa部材を製造しています。

主な結論

超高層RC造集合住宅は,柱に高強度コンクリートを使用することで,柱の断面を小さくしたり柱と柱の間隔を広くすることができ,居室内の間取りを自由にできる。高強度コンクリートを使用することで,躯体の寿命が長い。したがって,建物を長期にわたって供用可能となります。また,PCa化を行ったRC積層工法は,建設現場で発生する廃材を減少させ,現場への資材の搬入搬出量も少なく,環境に優しい工法であることが確認できました。

*1 技術センター 建築技術研究所 建築構工法研究室