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高性能段ボール製空調エコダクトの開発

生天目 泰*1・森田 深雪*1・松尾 秀信*2・山崎 章*2・古田 拓*3・川上 仁*3

Development of High-Performance Corrugated Fiberboard HVAC Duct

Yasushi NAMATAME, Miyuki MORITA, Hidenobu MATSUO, Akira YAMAZAKI, Taku FURUTA and Hitoshi KAWAKAMI

研究の目的

地球温暖化防止や資源の有効利用など環境問題への意識が高まる中で,建築物においても環境に配慮した建材を使用することが求められています。アルミニウムは品質劣化せずに新たなアルミニウム製品に少ないエネルギーで生まれかわることができます。また,段ボールは古紙の使用率が90%を超えており,共に資源の有効利用となる優れた材料です。本研究では,アルミニウムと段ボールを組合せて空調用ダクトとして商品化することを目的として,必要となる各種性能試験を行いました。

技術の説明

材料は,厚さ8mmの段ボールと厚さ20μmのアルミニウム箔で構成されています。このダクトの単位重量は約1kg/m2であり,従来の鋼板製ダクトと比べて約5分の1です。
本ダクト材料は,工場で所定寸法の材料の四辺をアルミテープでシールして防湿性を持たせ,折り曲げの為の罫線と組立て形状保持のためのピン穴を加工しています。建築現場には平板の状態で搬入し,施工直前に矩形状に組立て据付けを行います。組立て作業は標準化されており,特別な道具や技術がなくても組立てることが出来ます。

主な結論

今回は空調エコダクト本体を構成する材料についての環境負荷を評価する方法としてCO2排出量を算出し,比較することで,環境負荷の評価を行いました。CO2排出量はLCAデータベースに基づき算出しました。その結果,製品の製造時のCO2排出量は,従来の鋼板製空調ダクトが7.65 kg-CO2/m2に対して空調エコダクトは1.94 kg-CO2/m2でした。
さらに,空調エコダクトのリサイクル率が75%以上のため,グリーンマーク表示商品として承認されました。
空調用ダクトとしての性能は不燃性を確保することが必須であり,不燃材料認定(認定番号:NM-1176)を取得しました。また,圧力による変形量,空気漏れ量,断熱性能,透湿度について試験を行って,一般空調用ダクトの性能を有していることがわかりました。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室
*2 (株)栗本鐵工所
*3 レンゴー(株)