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大成札幌ビルにおける北国空調システムの省エネルギー性評価

寒冷地における自然エネルギー利用空調システム

森田 深雪*1・齋藤 正文*2・梶山 隆史*3・森山 泰行*3

Evaluation of Energy Consumption of "Air Conditioning System Designed for Northern Areas"

Energy Consumption of Air Conditioning System utilizing Natural Energy in Cold Region

Miyuki MORITA, Masafumi SAITO, Takafumi KAJIYAMA and Hiroyuki MORIYAMA

研究の目的

業務用ビルにおいて地球温暖化の原因となる二酸化炭素の発生量を抑制するためには,運用段階におけるエネルギー消費削減,すなわち省エネルギーの推進,未利用エネルギーの活用が重要です。
大成札幌ビルは,当社が推進している「スーパー・エコ・ビルディング」を適用した最初のプロジェクトで,快適な次世代オフィスであるとともに,省エネルギー,省資源,低環境負荷材料の採用やゼロエミッションを目指した施工など,環境配慮型建築として計画されました。本ビルの竣工後のエネルギー消費実績の把握と省エネルギー性の検証を行いました。

技術の説明

寒冷地に立地する大成札幌ビルは,冬期の暖房負荷削減と夏期の冷涼な気候の有効利用を最重要ポイントと捉え,外断熱工法の採用による高断熱建物の特性を生かした「北国空調システム」を構築しました。
夏期の夜間や中間期の冷涼な外気から熱回収し,空調用の冷水として使用するフリークーリングを採用しました。この冷水を,オフィスの空調機及び躯体放射冷暖房に使用しています。また,吹き抜けのドラフト効果を利用した自然換気や外気冷房も採用し,自然エネルギーを有効活用しています。

主な結論

年間の空調エネルギー消費実績は,2006年度での試行改善を経て,2007年度では空調・換気エネルギーで346MJ/m2年,照明,コンセント等その他エネルギーを含めた事務所部分全体エネルギー消費量で1,081MJ/m2年となり,設計当初のエネルギー削減率目標値40%減を達成しました。自然エネルギーを利用した熱源システムについては,冷房期全体の熱源製造熱量の内,約53%をフリークーリングで処理することができました。また,外気冷房を積極的に利用できる中間期は冷房負荷の20~40%を処理できることがわかりました。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室
*2 技術センター 建築技術研究所 環境研究室
*3 設計本部 設備グループ