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ハイテク打ち水システム

テプサムクールブロック&クールウォールの施工事例及び実測結果

森 直樹*1・梅田 和彦*2

Hi-tech Water Sprinkling System

An Implementation of the Tepsam Cool-Block & Cool-Wall System and Actual Results Achieved

Naoki MORI and Kazuhiko UMEDA

研究の目的

昨今の都市部におけるヒートアイランド現象は深刻な問題となっています。また,CASBEEなど建築物の総合環境性能を評価する手法が一般に普及していく中で,様々な再利用が難しい廃棄材や自然エネルギーを利用した環境にやさしい資源循環型技術の導入は重要な課題です。この様な状況下で,これらの要求にトータルで応え,建築環境/都市環境/地球環境に大いに貢献できるのが,「クールブロック」と「クールウォール」を使ったハイテク打ち水システムです。

技術の説明

「ハイテク打ち水システム」は,主に夏期の屋外空間において,舗装ブロックや建築物の外壁パネル等に自動的に給水を行って(打ち水),その表面温度を低下させることで放射環境を改善し,屋外での人体の暑熱感を緩和させるシステムです。使用する水は,貯留した雨水などを利用し,舗装面や壁面に送水するポンプ動力などの消費電力を太陽光発電によって賄うことで,自然エネルギーを有効に活用します。
クールブロック及びクールウォールは,基層材に使用済みの発泡スチロールのリサイクル材を,表層材に瓦や廃ガラス,貝殻などの廃材を利用した舗装ブロック及び外壁パネルです。

主な結論

ハイテク打ち水システムの効果検証として,クールブロックによる路面の打ち水効果は,愛知万博での実測結果により,通常のアスファルト舗装よりも路面温度を約20℃低減できることが判明しました。また,クールウォールによる壁面の打ち水効果は,通常の壁面よりも表面温度を約5~10℃低減できることが判明しました。
この結果,外壁と路面のクーリングによるハイテク打ち水システムは,夏期における屋外空間の暑熱緩和(体感温度を2℃程度低減),及びヒートアイランド抑制に貢献できることが検証されました。

*1 技術センター 建築技術開発部 建築生産技術開発室
*2 技術センター 建築技術研究所 環境研究室