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二酸化炭素地中貯留に関する技術の現状と動向

小川 豊和*1・青木 智幸*1

Current Status of CCS Technology

Toyokazu OGAWA and Tomoyuki AOKI

研究の目的

地球温暖化ガスの大気放出抑制対応策として,二酸化炭素地中貯留技術が注目されています。この技術はCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)と呼ばれ,発電所,製鉄所などから排出される二酸化炭素を分離・回収し,貯留地点まで輸送して地中の油層や帯水層に封じ込める技術です。そのためには,CO2を安全に貯留するための技術,その動きを長期にわたって予測する技術,そしてその動きを検知し監視する技術が必要となります。

技術の説明

約1,000mより深い地層にCO2を圧入したとき,CO2は気体とも液体とも区別のつかない超臨界と呼ばれる状態になります。超臨界状態のCO2の密度は地上の水の半分程度にまで大きくなり活性も増すため,効率よくCO2を貯留することができます。地下の地層に圧入したCO2の挙動を予測し監視するためには,高度な数値シミュレーション技術と地上・ボーリング孔からのモニタリング技術が重要となります。

主な結論

CCSに関して国内外で実施されている大規模な実証試験などについてその動向を紹介しました。また,CCSで求められている技術の概要と構成を示しました。さらに,大規模数値シミュレーションを主体とした当社のこれまでの取組みについて記しました。今後,国内外の実証試験に積極的に参加し,総合建設技術としての完成度を高めて行きたいと考えています。

*1 技術センター 土木技術研究所 地盤・岩盤研究室