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プレスリリース

塩素化エチレン汚染地下水を短期間で浄化する技術を開発

− 浄化事業計画への利用指針の適合確認を取得 −

2014年11月6日

 

大成建設株式会社
独立行政法人 製品評価技術基盤機構

 大成建設株式会社(社長:山内隆司)は独立行政法人 製品評価技術基盤機構(理事長:安井至)と共同で、同法人の微生物保存・提供機関であるNBRC(NITE Biological Resource Center)から分譲されている好気性細菌※1Rhodococcus jostii RHA1※2 (=NBRC 108803)・図1参照)を汚染されたサイトに導入して、塩素化エチレン※3汚染地下水を浄化する技術を開発しました。また好気性細菌では国内で初めて、経済産業省および環境省が策定した「微生物によるバイオレメディエーション利用指針※4」の適合確認を受けました。

【背景】
土壌汚染対策法で規定されている第1種特定有害物質(揮発性有機化合物※5)による地下水汚染の件数は塩素化エチレン類による汚染が80%以上を占めています。塩素化エチレン類の汚染は広範囲に及んでいる場合が多いことから、低コストかつ環境負荷が少ない微生物を利用した浄化方法の適用が増えています。微生物を利用した浄化方法には、汚染サイトに生息している微生物を活性化させる方法と汚染サイトに汚染物質を分解する菌を人為的に導入する方法があります。前者では浄化が長期化する場合があり、近年では後者の適用を拡大するための安全で効果的な浄化技術の開発が求められています。そこで、好気性細菌RHA1株による浄化技術を開発し、このたび、好気性の塩素化エチレン分解菌では日本初の利用指針適合確認を取得しました。

【菌の適用法確立】
地下水の汚染状況に対して効果的に浄化するため、RHA1菌の特性を踏まえた菌の適用法(菌体の適切な培養方法、汚染濃度に合わせた菌の投入量、汚染サイトの浄化工法選定など)を確立しました。この菌の適用により、従来は数年から数十年必要であった浄化期間を1か月から数年程度に短縮が可能となりました。

【菌の特徴】
1.汚染物質の分解に菌の活性剤が不要
本菌株は、国内で汚染事例が多いトリクロロエチレンやシス-1,2-ジクロロエチレンなどの塩素化エチレン類の汚染物質に対して、従来の好気性細菌とは異なり、菌による汚染物質の分解を促進する活性剤がなくても、菌体を導入するだけで浄化することが可能です。

2.環境規制物質を生成しない
本菌株による浄化では、嫌気性細菌※6を用いた場合にトリクロロエチレンやシス-1,2-ジクロロエチレンを浄化する過程で発生する環境規制物質(塩化ビニルモノマー)を生成しません。

3.生態系への影響が少ない
本菌株は汚染物質の浄化が進行するとともに菌数が減少するため、汚染サイト内に生息する微生物や生態系への影響は少なく、菌の安全性が確認されています。

4.汚染物質の早期浄化にも有効
本菌株による浄化は、掘削を行わずに地盤内で微生物の働きを利用して汚染物質を直接分解する手法であり、原位置浄化技術として広く普及している注水バイオスパージング工法※7にも適用できるため、従来では処理が困難であった揮発性有機化合物の早期浄化が見込まれます。

【今後の展開】
今後、実汚染サイトでの浄化効果の確認、更なる浄化効率の向上を図るための研究開発を進めます。また、今回、前述の利用指針に基づく本菌株の浄化効果、安全性が認められたことから、本菌株を浄化事業に適用する枠組みを構築していきます。

塩素化エチレン汚染地下水を短期間で浄化する技術を開発
 
注)
※1 好気性細菌
生育や活動に酸素を必要とする細菌類。水中の細菌類は、水に溶解している酸素(溶存酸素DO) を使って有機物を水と炭酸ガスに分解する。この働きを利用した排水処理が好気性生物処理で、 代表的なものとして、排水処理や下水処理に多く用いられている活性汚泥法がある。
   
※2 RHA1は、好気性のポリ塩化ビフェニル(PCB)の分解菌として国立大学法人長岡技術科学大学の福田雅夫教授のグループにより発見された菌株。PCB以外にも塩素化エチレン類汚染物質を分解することが可能。
   
※3 塩素化エチレン類は、エチレンに塩素を付加して合成した液体。トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンが金属部品の洗浄剤や溶剤として広く使用されてきたが、有害性が確認されたため環境規制物質に指定されている。
   
※4 微生物によるバイオレメディエーション利用指針
汚染サイトに人為的に分解菌を導入して浄化する際に安全性の確保に万全を期すための指針。
生態系への影響及び人への健康影響に配慮した適正な安全性評価手法及び管理手法のための基本本的要件の考え方を示し、微生物を用いた浄化事業の一層の健全な発展及び利用の拡大を通じた環境保全に資することを目的として2005 年に経済産業省および環境省によって策定された。
   
※5 揮発性有機化合物
常温常圧であっても大気中に容易に揮発する有機化学物質のことで、土壌汚染対策法では四塩化炭素、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼンなど11項目(第一種特定有害物質)が定められている。
   
※6 嫌気性細菌
酸素が存在しない条件下で生存でき、生育や活動に酸素を必要としない細菌類。この細菌類を用いた嫌気性処理は、酸素が不要(省エネ)、メタンガスを回収(創エネ)、余剰汚泥減容(省廃棄物)など優れた特徴を持ち、BODが数万mg/lの高濃度排水から下水などの低濃度排水まで処理が可能。
   
※7 注水バイオスパージング工法
土壌に井戸を設置し、空気と分解菌の増殖に必要な栄養(窒素、リン)を含む液体を同時に地盤内に注入して汚染された土壌や地下水を掘削せずに浄化する技術。

 

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