非常駐車帯と本線トンネルを1台のシールド機で構築
―拡幅・分岐シールド「クレセント」工法の開発―


【2003年5月22日】
大成建設株式会社
石川島播磨重工業株式会社


 大成建設(株)(社長・葉山莞児)と石川島播磨重工業(株)(社長・伊藤源嗣)は、大深度・長距離対応の道路トンネル等に向け、本線トンネル掘進と同時に、非常駐車帯を拡幅掘削し、構築する「クレセント」工法を開発しました。
 
 
 従来、シールドトンネルは、発進立坑から到達まで、同じ断面で掘削するというのが一般的で、道路トンネルの非常駐車帯のように、途中で拡幅が必要な場合でも、初めから全線にわたって大断面で掘削するか、あるいは本線トンネル掘削後に、地盤改良等により駐車帯部分を切り拡げるなどの工法を採用するしかありませんでした。また、地中でテール部を拡幅しようとすると、テールシールの止水性を含めたテール部構造に課題がありました。
 
 本「クレセント」工法は、球体機構に内蔵したカッタ装置を本線トンネル用シールド掘削機に組込み、あわせて、本線セグメント外側に三日月形のセグメントを別個に組み立て、あとから(掘削との並行も可能)本線部と拡幅部を結合するという新方式を採用することで、テール部構造の課題を解決し、非常駐車帯の構築を可能にしました。
 
 拡幅部の掘削は、球体に内蔵したカッタ装置で行い、回転・押出し・格納を繰り返すことで、長距離道路トンネル内の非常駐車帯などを「所定の位置に繰り返し築造する」ことができます。
 
 
本工法の特長は、
 1) 本線トンネル用シールド掘削機のテール部を拡幅しないため、止水性能を低下させず、さらにシールド掘削機の費用の増加も少ない。
 2) テール部の拡幅がないためテールプレートを厚くせず、テールボイドの発生が少ないため、地山を乱さないばかりか、充填費用等の増加も抑えられる。
 3) 球体を利用しているため、拡幅用カッタを掘進中に徐々に拡げることも、掘進を停止した状態で拡げることも可能である。
 4) 非常駐車帯である拡幅部の掘削は、本線トンネル掘削と同時に、所定の位置で繰り返し行うことができる。
 5) 拡幅部のセグメント組み立ては、本線部のセグメント組み立てと同時に別個の位置で行う機構のため、工期の増加もわずかですむ。
 6) 本線セグメントと拡幅部分のクレセントセグメントの結合は、本線トンネルの掘削と並行作業が可能なため、工程への影響も少ない。
 
 
 今後、道路トンネルばかりでなく、鉄道の地下駅舎部、地中渡り線部、あるいは共同溝の管路分岐部といった用途にも提案していく予定です。