半導体製造工場などのナノテク施設等の高精度な設計に威力を発揮

―三次元地盤環境振動予測解析システムの開発―


【2003年8月5日】
大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長:葉山莞児)は、半導体製造工場などのナノテク施設において、自動車や鉄道などによる微振動をも解析する高精度な設計ツールである、三次元地盤環境振動予測解析システムを開発しました。
 
 半導体製造工場などのナノテクノロジー施設は、ごく小さな振動が機器機能の低下や製品の歩留まり低下の原因になることがあり、防振設計が必要となっています。
近年、道路や鉄道の近傍あるいは軟弱な地盤に建設するケースも多く、振動対策が急務となってきています。
 本システムは、このようなニーズに対応するもので、環境振動の予測・解析による設計技術の高度化のみならず、ナノテク施設以外にも事務所ビルや住宅などの一般の建物での居住環境の評価・振動対策の検討にも適用できます。
 
 本システムは、構造・気流・音響などを解析する有限要素法*1と、原子力施設と地盤との相互作用を解析する薄層法*2を結合したハイブリッド解析法です。解析対象地盤の近傍での道路や建物の基礎などを実物に即した三次元有限要素モデルで、その地域周辺に無限に広がる地盤を三次元薄層モデルで表し、それぞれの解析方法の利点を生かしたシステムとなっています。従来、地盤環境振動の解析は、一般的には二次元有限要素法が、より厳密な検討には三次元有限要素法が適用されていましたが、解析に要するコストや期間に難点がありました。このような課題を解決するために、解析対象とする建物近傍では、三次元有限要素モデルで、より広域な領域での振動解析には三次元薄層モデルを採用し、この双方の特長を生かすことで、より迅速に高精度な地盤環境予測解析が可能となる上、対象地盤における境界領域の設定数、コンピュータの計算時間ならびにデータ入力などの人的費用も大幅に軽減できます。
 
 本システムは、既に嫌振機器を有する生産施設の防振対策で適用しており、これから増大する可能性のある各種ナノテク施設への適用を積極的に推進していきます。

 
    

システム概要図


 
 
    
有限要素法モデル例 薄層法モデル例



*1 有限要素法とは、地盤や構造物を要素分割してそれらを組み合わせて全体モデルを作成する方法です。ニ次元要素には平面要素、三次元要素には直方体要素が一般に用いられています。振動解析だけではなく、構造解析、音響解析、気流解析など多くの分野で適用されています。


*2 薄層法は、地盤を薄い層に分割して水平方向に無限に広がるモデル(薄層モデル)を用いたものです。水平方向に無限に広がる地盤を自動的に評価しており、振動が地盤内を三次元的に伝わる現象が再現できます。従来は、一般建物や原子力施設と地盤とが相互に影響を及ぼしあう現象(地盤・建物の相互作用)を解析することに用いられてきました。