平成14年3月19日
 

鹿島建設株式会社
    
大成建設株式会社
  
 

鹿島・大成が土木分野の共同研究で成果

★「ウェットランド(沿岸環境)の再生技術」について研究成果
   
 

 鹿島建設(株)(社長:梅田貞夫)と大成建設(株)(社長:葉山莞児)は、公共土木分野において平成12年度に共同研究を実施することに同意しました。
 従来、公共土木分野における研究開発は、民間企業各社がそれぞれ独自に実施してきましたが、多くの費用と長い開発期間がかかるために、同じ技術分野における研究開発を各社が行うことは多重の投資となります。
 鹿島建設(株)と大成建設(株)は、土木分野におけるトップレベルの技術ポテンシャルを有することから、同一のテーマについて研究開発を分担して行い、成果を共有する共同研究を行ってきました。
 このほど、「ウェットランド(沿岸環境)の再生技術」について以下の研究成果を得ました。
* ウェットランド 海や湖沼の沿岸の干潟、も場、ヨシ原などからなる湿地、浅場のこと。生物の棲み家と水質浄化にとって重要な場である。
 
 
 
 
 
[ウェットランド(沿岸環境)の再生技術]  
 
 水域環境改善のため、「ウェットランド」を再生することは有効な手段として注目されています。鹿島建設(株)と大成建設(株)は、平成12年度に、望ましい沿岸環境を設計するための総合的な環境指標を構築すると共に、ウェットランドの造成方法に関するソフトおよびハードの技術開発を共同で行うことに合意しました。
 水域環境改善の分野は、水理、土質、生態系を含む多方面の技術が要求され、かつ公共性の強い事業分野であるため、両社は研究効率を上げ、共通基盤技術を構築する目的で共同開発を行うことに踏み切りました。
 平成12年度よりウェットランドの生態の共同調査を行い、ウェットランドの総合的な評価手法を構築中であり、成果の一部を学会で発表する予定です。また、この研究を通して、両社は今後見込まれる自然再生事業に参画していく方針です。
 
  
<技術の特徴>

 (1)ウェットランド再生の設計技術
 従来の人工干潟の造成は、波や流れに対して侵食されない土砂粒径や勾配を決め、造成したのち底生生物と野鳥の生息を期待するものでした。
 しかし、自然再生型のウェットランド造成では、陸域から海域にまたがった生態系の連続性(例:陸域のヨシ?干潟のカニ、ゴカイ?浅場の藻場など)と多様性を考慮した設計が求められます。さらに人間の存在も重要であり、自然環境だけでなく、後背地の社会環境(土地利用状況等)なども考慮に入れた干潟の設計技術を確立することになります。
 
 (2)総合的な環境評価手法
 従来、たとえば野鳥、アサリやゴカイ、ヨシなどの動植物の生息状況と塩分濃度や粒径などの物理的条件を結びつけて指標としていました。しかし、多くの指標があっても、これがばらばらな関係であると、再生しようとするウェットランドの設計が出来ません。本研究では、ウェットランドの連続性と多様性を考慮した上で、これら指標を相互に関係付け、生態を含む総合的な評価方法を確立します。
 
 (3)造成方法
 ゼネコンの設計・施工経験を生かし、ウェットランドを造成するための構造物、材料、施工方法やウェットランドの管理方法などを研究開発し、都市再生事業、自然再生事業に受け入れられるウェットランド造成法を提案します。
 
 
<両社の技術ポテンシャル>
 
 (1) 世界最高水準の水質予測技術を保有し、これを駆使した多くの環境アセスメントの実績がある。
 (2) 沿岸環境に関する土木の専門家だけでなく、生物・水産の専門家を擁し、沿岸環境の実態に関する豊富な知見を有している。沿岸環境の現地調査の経験も深く、多くの論文を発表してきた。
 (3) 沿岸環境に関連する事業や商品開発の実績を有している。(カニ護岸、植生つき浮消波堤、人工干潟造成など)
 
 
<共同研究のメリット>
 
 (1) 水域環境に係わる技術分野は、水理、土質、生態系を含む多方面の技術が要求され、また、実証試験では大きな研究費用、リスクが伴う。共同研究により、技術開発の効率が高まることとなる。
 (2) この分野は公共性の強い事業分野であるため、技術を1社独占するより、技術を共有した方が開発成果を広く公共の利益に資することができる。
 
 
<企業としての姿勢>
 
 従来型の公共事業が見直される中で、都市再生・自然再生事業への要求が高まっています。共同研究の成果を基に、わが国の閉鎖性海域、湖沼、河口域、都市河川における環境修復事業、およびミチゲーションを促進する提案を行っていきます。「自然再生」という建設業の新しい分野において業務展開を図る所存です。
* ミチゲーション 一般に開発事業などに伴う自然環境への影響を軽減するために、回避、最小化、修復・再生、代替などの適切な措置を講じること。
 
 
<今後の展開>
 
 (1) 水域環境に係わる技術分野は、水理、土質、生態系を含む多方面の技術が要求され、また、実証試験では大きな研究費用、リスクが伴う。共同研究により、技術開発の効率が高まることとなる。
 (2) この分野は公共性の強い事業分野であるため、技術を1社独占するより、技術を共有した方が開発成果を広く公共の利益に資することができる。
 (3) 造成方法の開発:構造物、材料、施工方法などに関する8件の特許を出願済みまたは準備中である。
 今後、研究成果を具体的なウェットランド再生構想にまとめ、沿岸自然再生事業、海上空港など、沿岸域を有する自治体、中央省庁などに提案して行きます。
 
 
 
 
「他分野の共同研究」
 
 鹿島建設(株)と大成建設(株)は、平成12年度にウェットランドの再生技術にとどまらず、土木の幅広い分野で共同研究の可能性をさぐることで同意しております。例えば、地盤、環境、新材料等の分野です。
 
 これらの分野では、両社のもっている研究施設、得意とする研究分野を相互に利用し、開発・投資の効率化を目ざして検討を進めております。
  
  
[お問い合わせ先]
〒182-0036  東京都調布市飛田給2-19-1
鹿島建設株式会社 技術研究所
企画管理室 企画グループ 信田 佳延
Tel:0424-89-3049 Fax:0424-89-7024
メールアドレス:nobuta-y@kajima.com
   
〒245-0051  横浜市戸塚区名瀬町344-1
大成建設株式会社 技術センター
技術企画部 企画室  末岡 徹
Tel:045-814-7221 Fax:045-814-7250
メールアドレス:toru.sueoka@sakura.taisei.co.jp


【参考資料】

沿岸生態系の連続性
 
沿岸の自然再生−連続性の再生
 
沿岸生態総合評価手法

 
 
以 上