施工図無しで施工できる設計システム

―「施工図レス設計」を構築―

 
【平成12年11月13日】 大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長・平島 治)はこの度、設計施工物件について施工図無しで施工できる設計システム「施工図レス設計」を構築し、関東地区において展開を始めました。   

  
 従来の実施設計図は契約内容を示すもので、そのまま施工をするには情報量が不足しているばかりではなく、その内容にも多くの確定していないものが含まれています。そのため施工サイドでは設計図書を改めて書き直し、施工のための情報と共に確定した設計情報だけを盛り込んだ図面を作っていました。これが施工図です。この方式ではCADデータの変換や、変更対応に外注費が支出されるなど多くの課題がありました。

 この工程を合理化するため、新たに設計業務の中に実施設計3フェーズを設けて、従来施工段階で行っていた施工上の課題を含む詳細検討と情報の確定化を行い、より確定度の高い設計情報を盛り込んだ詳細設計図を作成します。

 従って施工部門においては製作図・加工図に類する図面以外は作成する必要が無くなります。これは日本型建築生産システムのリ・エンジニアリングであり、建築生産プロセスの課題を下流に先送りするというものではなく、可能な限り上流の設計部門で解決していくというものです。本システムの運用にあたっては、高度なCAD技術レベルが要求されますが、当社では設計者をそのレベルまで引き上げることにより、「施工図レス設計」を可能としました。

 この新たな設計業務「施工図レス設計」により、施工部門においては大幅な業務の効率化に繋がり、また主に外注化していた下記のような施工図は、不要になるので外注費の削減も可能となります。その結果、作業所においては従来の施工図の代わりに、本システムで作成されたCADデータを受領後、工事に必要な図面を画層を選んで随時引き出すことが可能になります。

(従来の施工図)
(ファイルから画層指定で随時引き出す)
・施工平面詳細図
→ 
平面詳細図
・躯体図(平面、断面)
→ 
躯体情報図
・石、タイル割図(平面、立面)
→ 
割付情報図
・設備施工図
→ 
設備総合情報図(各種プロット図)

 「施工図レス設計」は、昨今建設業において課題とされている工事費の低減への画期的方策であるとともに設計者自身がその意思を直接に工事に反映することができるため、より一層顧客のニーズに応えることができます。今後、順次適用範囲を拡大してゆく予定です。

「施工図レス設計」の構築・参考図


(1) 従来の業務における作業・情報・図面の流れ
   従来、設計施工で建築物を施工する場合、設計部門で作成した実施設計図のCADデータを施工部門に転送し、施工部門でこのCADデータをもとにして主に外注化で「施工図」を作成していました。この設計施工情報の一元化による情報共有には様々な課題があり、これを乗り越えることが必要となっていました。
   
 
   
(2) 「施工図レス設計」における作業・情報・図面の流れ
   本システムでは設計業務システムそのものを改革し、従来の設計フェーズに実施設計―3フェーズを新設しました。この結果、施工部門で「施工図」を作成することなく、実施設計―3フェーズで作成した「施工に必要な情報を盛り込んだ確定詳細設計図」で施工することを可能にしました。