液状化などによる地盤の変形にも対応

―「耐震場所打ちジョイント杭」を開発―

 
【平成12年8月31日】 大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長・平島 治)と大洋基礎(株)(社長・入住 毅 )は,山口大学三浦教授が発案した「杭基礎も柳に風」の発想に基づいて,地震時の揺れを吸収し,地盤の大変形にも追随できる「耐震場所打ちジョイント杭」を開発しました。 


 従来,杭と基礎の接合方法は接合部の回転を許さないいわゆる「剛接合(完全固定)」が原則であったため、地震時には杭頭部や地中梁に多大な応力が発生することになり,これら部材の破壊や損傷を防止するためには大断面の杭や地中梁が必要とされていました。また,従来の耐震設計は,上部建物からの慣性力のみを対象として行なわれてきました。しかし,兵庫県南部地震では上部建物のない杭の被害も報告されており,上部建物からの慣性力のみならず,液状化などによる地盤の変形も杭に大きな応力を発生させることが判明しました。

 耐震場所打ちジョイント杭は,上記問題点を解決するために開発されたもので,人体で言えば膝や肘の関節に相当する回転自在な鋼製メカニカルジョイントを杭の頭部や地層境界部に設けることにより,ジョイント部の曲げの力を低減し,杭の曲げ破壊を防止することができます。杭頭部にジョイントを設けた場所打ちコンクリートの水平加力実験により,杭頭部の曲げモーメントが従来型剛接合の4割以下になることを確認するとともに,高層ビルなどで生じる地震時の軸力変動(高軸力や引き抜き力)にも十分対応できることを確認しました。場所打ちコンクリート杭の頭部と基礎梁との接合部に使用すると、杭頭のみならず地中梁の曲げの力やひきちぎる力も減少するため,地中梁の材工費及び地盤掘削費の削減が可能となります。試算によると,基礎工事費が最大20%程度削減可能です。また,液状化が予想される地盤や軟弱粘性土地盤の地層境界部にジョイント部を設けることにより,鋼材等による補強をせずに杭の安全性を格段に向上させることができます。


 今後両社では,建築基準法の改正に合わせて,耐震場所打ちジョイント杭を使用した基礎の最適設計法の整備を進めるとともに、個別評定と一般評定を取得する予定です。







耐震ジョイント杭の有効性
場所打ちジョイント杭 (回転角 1/15)
従来場所打ちコンクリート杭 (回転角 1/30)