コンピュータの中に空調実験室

―最小のコストとエネルギーで最適な室内環境を実現―
 
【平成11年9月8日】大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長 ・ 平島 治)は、実験室での実験とコンピュータによる数値シミュレーションを融合し、従来にない全く新しい手法で空調システムを評価する 「数値空調実験室」 を開発しました。 「数値空調実験室」 とは、当社の技術研究所に保有する 「空調システム実験室」 をコンピュータの中に数値モデル化して再現したもので、今までの実験室での実験と数値シミュレーションの双方の長所を活かした解析が可能となります。


 従来、空調システムを評価する手法として、  
(1) 主に室内の温度・気流分布などの室内環境を評価する温熱環境シミュレーション
(2) 主に空調の消費エネルギーを評価する空調システムシミュレーション
(3) 実物大の実験室での実験や縮小模型実験
などがありました。従来の温熱環境シミュレーションでは、空調システムのエネルギー評価ができませんでした。一方、空調システムシミュレーションでは、室内温度を均一と仮定する場合が多いため、室内の温度分布を考慮した評価、特に窓付近や室内上下の温度分布を考慮した評価をすることが困難でした。また、実験室での実験や模型実験では、環境の評価もエネルギーの評価も両方可能ですが、設備上の制約で、検討対象となる建物の形状や方位などの空間条件、空調システムの種類、外界条件やその変動に汎用性がなく、限られた条件での評価しかできませんでした。

 今回開発したコンピュータの中の実験室は、 「空調システム実験室」 の形状・材質をモデル化し、既存の空調システムシミュレーションを当社開発の温熱環境シミュレーションシステム 「サーモキャンバス」 と組み合わせることで構成されています。このシステムは、従来手法の短所をすべて補い、汎用性も高く、空間の温度分布を考慮した空調システムシミュレーションが可能です。具体的には、センサー・給気口・還気口の位置により実現される環境と消費エネルギーの関連が高い精度で評価できます。また、冬場のオフィスを想定した場合、室内の窓側の暖房と中央部の冷房が交じり合うことにより起こるエネルギーロスの解析なども可能です。さらに、場所、時間、建物形状が自由に設定できるので、実際に設計対象となる物件を想定して分析できます。
 「数値空調実験室」 の完成によって、近年高まっているリミット設計 (省エネ・省コストを追求した設計) により一層対応できる、最小のコストとエネルギーを実現する効率的な空調設計ができるようになりました。
 現在、実験室での実験と比較検討し、精度の更なる向上を目指しており、すでに窓側・外壁側に設置するセンサーの最適位置の解析などで成果が上がっています。
 なお、本技術の詳細は、9月17日からの建築学会大会と9月28日からの空気調和・衛生工学会大会で発表いたします。