レーザ光で衝突防止

―移動式クレーン・バリアシステムを開発―
 
【平成11年10月6日】大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長 ・ 平島 治)は、レーザの光を利用して、移動式クレーンのまわりにバリアを張り、バリア内に侵入する障害物を検知して、接触や衝突事故を防止する 「移動式クレーン・バリアシステム」 を開発しました。

 クレーン作業では、クレーン同士もしくはクレーンと障害物との接触の危険性が常に存在し、運転者はそれを回避するために、作業効率の低下を余儀なくされてきました。

 従来の固定式クレーンの衝突防止システムは、クレーンブームの旋回角・起伏角と障害物の情報を通信ネットワークでつなぎ、三次元的に各々の位置関係を逐次計算して衝突を回避するものです。当社が1981年に業界で初めて実用システムを開発して以来、固定式クレーンを使用する作業現場で採用されてきました。

 ところが、クレーンが移動式の場合はクレーン自体の移動に伴い、刻々と変化する作業環境に対応できることが要求されます。

 本システムは、レーザ距離スキャニングセンサーより移動式クレーンの左右側面に面状にレーザ光を発射してバリアを張り、接近する物体を直接検知して、0.08秒以内に運転者にブザー及び侵入表示ランプの点灯で警報を出す装置であり、これにより移動式クレーン同士はもとより構築物、運搬中の資材なども検知可能となり、作業効率の大幅な向上に寄与します。

 本システムの特徴として以下の点が挙げられます。
  (1) 一基ごとに独立して警報エリア設定ができ、現在使用されているほぼ全機種のクレーンに対応可能です。
  (2) 通信ネットワークを利用しないシンプルな構造のため故障が少なく、低コストを実現しました。
  (3) 装着脱が容易です。
  (4) 外部電源を使用せず、車載バッテリー(直流24ボルト)で作動します。
  (5) 自己診断機能により、故障時には異常箇所を表示します。

 
 現在、本システムは東京スタジアム建設工事にて実用試験中であり、当社作業所に本格的な導入を図ると共に、将来的には販売も検討しています。

 


<クレーンブームに取り付けられたセンサー状況>
 

<クレーン稼働状況>
 
 
 
移動式クレーンバリアシステム
(Boom Barrier System)


 
動作原理
 
 クレーンブームの左右側面に高速で機能するレーザ距離スキャニング装置を設置し、レーザ反射光を計測して物体の検知を行う。
 
 


標準的な使用形態

設定エリアLとDを任意に設定
ただしLは50m以内の設定。
 
 
 


ブーム長が変化する場合

 ブームの伸縮長に応じたアナログ量の信号をBBコントローラに入力する。
 設定エリアはクレーンブーム長の最小長Lminと最大長LmaxとDを任意に設定する。
 この設定によりBBコントローラはクレーンのブーム長の変化を検出し、設定エリアを自動的に変化させながら侵入検出を行う。
 
 
 


補助ジブの起伏角の変化がある場合

 補助ジブの起伏角に応じたアナログ量の信号をBBコントローラに入力する。
設定エリアはクレーンブーム長Lと補助ジブ長LjおよびDを任意に設定する。
 この設定によりBB装置はクレーンの補助ジブ起伏角の変化を計測し、設定エリアを自動的に変化しながら侵入検出を行う。
 
 
 


レーザ距離スキャンセンサーを1台使用した場合

 変則的な使用形態として、ブーム下端面にレーザ距離スキャニングセンサーを1台設置する。
 設定エリアLとDを任意に設定する。
 
 
 
特徴
多様なエリア設定が可能
(クローラタワー、油圧式トラッククレーンにも対応可)
エリア設定をcm単位できめこまかく設定できる。
レーザ距離スキャニングセンターが1台のみの一面設定方式でも使用可能
鉄骨・鉄筋やコンクリートなどの構造物も障害物として探知する。
使用する移動式クレーンの台数には制限が無い
自己診断機能があり異常箇所を表示する。
車載電源(直流24V)で動作する。
構造がシンプルなので故障が少なく、取り付け取り外しが容易
 
 
その他
 取り付け作業は人力のみで可能であり、1台のクレーンへのセッティング時間は調整込みで約3〜4時間である。
 
1999年7月現在、東京スタジアム建設工事にて実施中
 
 
 
 
移動式クレーンバリアシステム
(Boom Barrier System)
 


 
 
仕様
レーザ距離スキャニングセンサー:2台
レーザ距離スキャニングセンサー取付架台:1組(上下左右微調整機能)
BBコントローラ:1台(動作電圧直流24V電圧)
測定範囲:測定角α=0〜100°
       測定距離L=50m以内
使用環境:屋外仕様、−30〜50℃
処理時間:1スキャニング80msec以内に左右画面の検知を完了