岩盤内の「みずみち」を見逃さない

〜 「クロスホール透水試験装置」を開発・実用化 〜
 
【平成11年3月10日】大成建設株式会社


 大成建設(株) (社長・平島 治) は、「みずみち(地下水の通り道)」 の分布や透水性 (水の通しやすさ) を高精度に観測・解析する 「クロスホール透水試験装置」 を開発・実用化しました。この装置は、注水制御や計測をコンピュータで自動化し、試験に必要な全ての装置をシステム化した、今までに例のない新しい透水試験装置です。
 

 ダムや地下空洞、トンネルの施工では、掘削時の湧水を未然に防ぐため、事前に基礎岩盤の透水性を調査することが必要です。昨今では、環境問題への関心の高まりから、地下水の通り道をより正確にとらえる技術が強く望まれていました。
 

 従来の透水試験では、単一のボーリング孔で実施するのが一般的でした。しかし、この方法では各孔周辺の透水性を調べることはできますが、 「みずみち」 の全体像を把握するには、多数のボーリング孔を削孔することが必要でした。
 今回開発した試験装置では、複数のボーリング孔間 (クロスホール) の水圧応答観測により調査します。試験方法は、複数の止水パッカーで各孔内を区切り、注水孔のある区間から水を送り、観測孔内の各区間での水圧応答を高精度に観測します。得られた水圧応答をもとに、 「みずみち」 の分布や透水性を解析します。
 また、きわめて小さな水圧応答までとらえられるよう、航空宇宙用に開発された超高精度水圧計を採用しています。これにより、孔間距離が広がり、ボーリング数を大幅に減らすことができます。さらに、予測精度の向上により、セメントミルクで 「みずみち」 を充填するグラウチングといった対策工も効率化が図れます。
 広い領域を対象とした透水性の調査を行う場合、従来に比べて20%のコストダウンが可能との試算結果を得ています。ボーリング掘削費を含めれば、それ以上のコストダウンになります。
 

 「クロスホール透水試験装置」  は、すでに性能試験や数件の受託業務を経て、試験技術も確立しており、深度200m、孔間距離50mまでの適用範囲も確認しました。今後は、ダム基盤の透水性評価、トンネル・地下空洞の湧水量予測、廃棄物処分場における基礎岩盤の止水性能評価など、幅広い用途へ適用していきたいと考えています。