深層水プロジェクトを積極展開

―低コスト、環境配慮型の「深層水取水システム」を開発―
 
【平成11年7月21日】大成建設株式会社


 大成建設(株)(社長・平島 治)は、深層水 (水深200mより深い海水) の取水に関して、低コストで環境に配慮した新システムを開発しました。本システムは、取水槽内に空気圧の加減を利用した 「真空複槽方式」 を新たに採用し、取水管には、一般的な合成樹脂管の使用を可能にしました。


 深層水は、清浄性、富栄養性、低温性といった特性を持った海水で、農・水産業をはじめ、健康食品や化粧品などへの利用・研究開発が進んできています。近年、(1)養殖で魚介類が短期間で成長する、(2)深層水氷は鮮魚を長期保存できる、(3)アトピー患者に効果がみられる、などの実績も報告され、幅広い分野での活用が見込まれています。


 この度新しい取水方式として開発した 「真空複槽式取水システム」 は、まず取水槽内を真空ポンプで減圧して取水管で吸引し、次に取水槽内を加圧して送水管で送り出します。これを複数の取水槽で交互に作動させることで連続的な稼動ができるようになり、取水量の大幅アップが可能となりました。また、これまでの取水方式では、海水面と取水位置の高低差を利用するサイフォンの原理を使う方法やポンプによる吸引が一般的で、陸上部の取水ピットを海面より深く掘って設置しなければならず、海岸周辺の環境への影響が懸念されていました。今回の新システムでは、従来のような取水ピット建設のための海岸及びその周辺の掘削工事が不要となるため、環境に与える影響を少なくします。
 また、深層水の取水管は、海底地盤の起伏の激しい所に設置されることが多く、鋼管では海底の起伏に対応できないため、今までは起伏になじみやすいフレキシブルで特殊な重装備樹脂管を使用していました。このため、敷設コストが高いという問題がありました。今回、補強しない一般的な合成樹脂管の使用が可能になったことにより、取水コストを大幅に削減することができました。
 さらに、地盤状況に応じた埋設には、当社保有の 「海底三次元精査システム」 と 「海底管同時埋設工法」 を用いることによって、海底地形を正確に把握して適正なルートを決定し、連続的に敷設します。これにより、経済的かつ短期間の埋設が可能です。


 当社は大手建設会社では唯一海底管の工事実績があり、国内の海底管の約3割を施工しています。また、医薬品工場、食品関連施設、製氷施設の建設など豊富な経験があります。今後、これらの様々な技術・ノウハウを活かして、取水設備から効率的な施設利用までを総合的にコンサルティングし、顧客のニーズに合った最適な深層水プロジェクトを提案していきます。