慣性航法原理を応用した建設機械の自律走行を実現

─── 将来の月面での建設作業にも対応 ───

 
【平成9年12月3日】大成建設株式会社

 大成建設(株)(社長・平島治)は、自らが判断して自動的に動く無人化施工建設機械の研究開発を進め、実機(3トン・クローラーショベル)を使っての単独自律走行に成功しました。建設機械作業すべての自律化が完成すれば、地下や海底、宇宙など人間が作業することが危険かつ、リモートコントロールできない場所での工事に威力を発揮します。また、24時間無人で自律作業できるため、工期半減も可能となります。
 今回応用した慣性航法による位置の検知は外部からの位置情報を受信することなく、自ら把握できる特長を持っています。さらに姿勢も同時に把握できることで、次にどの方向に進めば良いかを知る有力な情報として活用できます。しかし、慣性航法には時間とともに位置精度が劣化するという欠点があります。
 本研究では、経済性を考慮し、一軸光ファイバージャイロと絶対方位を検出する地磁気センサーという簡易な装置の組み合わせでも位置精度の劣化を最小限に抑え、高精度(高価)な装置と同等な性能を引き出すことに成功しました。
自律走行機械では、
(1) 機械自ら自分の位置と姿勢を検知する能力
(2) 操作・制御手順を自ら決定する能力
(3) 周囲の状況を判断して、制御手順を変更できる能力
が必要とされます。
 実験では、機械のスタート地点と通過点の座標を何点か入力すると、機械に搭載されたコンピュータが自分の位置を計算しながら自律走行を開始します。障害物があっても探査レーダーで事前に検知して、迂回することに成功しています。状況に応じた加速・減速など、人間が判断して行っていた操作も建設機械内のコンピュータが自動的に操作しています。このために、通信・制御・監視・慣性サブシステムを有機的に結合するデータ蓄積型の通信ネットワークシステム(SHUB)を開発しました。
 今後、荷取りや積み込みといった機械同士の協調作業の研究を行い、システム全体の完成を目指します。
 
〔実験概要〕

・自律走行建設機械の特徴

(1)走行スタート前に下記必要情報を建設機械に伝送
  1. 走行ルートの座標値
  2. 前・後進の指示
  3. バケット・リフトの動作値
  4. スタート時の機械位置の座標値
(2)自律走行時の自己制御内容
  1. コースからどれだけずれているかの判断
  2. コースに戻るための旋回角と距離の判断
  3. アクセル開閉の設定
  4. シフト(1,2,3速)切り替えの設定
  5. ステアリング操作
  6. 前方障害物の検知
  7. 障害物回避判断
・ 仕様・能力
3トン級クローラショベル(実験機)
CPU6セット
一軸光ファイバージャイロ
サーボ加速計
各種センサー
 
自律走行実験用クローラショベル
 
[担当:安全・機材本部機械部機械技術室(計測制御)]
 
以上