週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
荷風絶賛 坂の東京 坂の新宿
日本は四季の変化に富んでいる。しかも、海に囲まれた島国で地勢も複雑だから、日本語には自然を表わす語彙が多いという。金田一春彦は『日本語・新版(上)』(岩波新書)で次のような指摘をしている。
<「坂」という何でもない日本語も、他の言語には少ない単語である。少なくとも英語やフランス語にはない。サイデンステッカーによる『雪国』の翻訳では「坂」をhillと訳してあった。(中略)パリのモンマルトルの丘に登る坂に名前がないのは不思議である。日本では東京など「神楽坂」「一口坂」「団子坂」などいくらでも坂がある。>
永井荷風は大正初年の東京風景を巧みにスケッチした随筆『
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荷風は明治四十一年、欧米の旅から帰国すると、新宿区
荷風の生活は自由奔放で住居も転々としたが、実父が他界したあと余丁町の家に戻り、新築の離れを書斎とし「
都営新宿線曙橋駅から
(掲載号:04月24日号)
