週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
横寺町 泉鏡花 婦系図
新宿区が編集したガイドブック『新宿文化絵図』(平成19年刊行)は街の歴史を分かりやすく親切に紹介している。
その町名由来の項で、
<隣接する牛込
JR飯田橋駅の西口を出ると、江戸城の牛込御門の石垣が残されている。西へ外濠を渡って神楽坂を登り早稲田に向かう道が牛込御門通りで、今の神楽坂六丁目あたりの寺町が通寺町だった。その通りを南へ折れた寺町が横寺町で、江戸時代からの町名である。
泉鏡花が『初めて紅葉先生に
<東京牛込横寺町———尾崎———
数え二十五歳の青年だった紅葉は思いのほか気さくで、泉鏡太郎に鏡花の号を与え書生住まいを許した。鏡花は玄関番を務めながら、紅葉の文章添削を受け、さらに新聞雑誌に作品が掲載できるようになる。作品が不評でも親分肌の紅葉は鏡花をかばった。
その紅葉が激怒した。鏡花が神楽坂の芸妓桃太郎とひそかに同棲した時である。紅葉の厳命で、二人はやむなく別居し、紅葉の死後に再び生活を共にする。のちに、この経験が鏡花の名作『
(掲載号:01月17日号)
