週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
航空安全 合格祈願の 飛不動尊
台東区竜泉三丁目の通称茶屋町通り北側歩道に建っている「樋口一葉旧居跡」の碑から少し東の十字路を南に曲がると、「
ご利益から歴史の浅い寺と勘違いしそうだが、創建は室町時代の享禄三年(一五三〇)という歴史の古い寺で、本尊は昔から飛不動と呼ばれていた。そのいわ れは———
開山の正山上人は諸国巡歴中に竜泉の村人から宿を世話してもらって眠りに就いたところ、一筋の光と共に立ち昇る龍の夢を見た。龍の夢は不動尊の加護を象 徴するということで、上人は旅の安全を祈って不動像を刻み、この地に寺を建てて像を安置した。
それから間もなく、住職が本尊を背負って正山上人が修行した大和(奈良県)の大峯山に登った。本尊が留守の寺では、信心深い村人たちが分身の不動像を携 えて集まり、一心にお祈りしていた。
すると、不思議にも翌日、本尊だけが寺にこつ然と現れた。つまり、一夜にして大峯山から江戸の地へ飛び帰ったということで、いつしか「飛不動」と呼ばれ るようになり、旅人の安全や諸々の災厄避けのご利益があるとして信仰されるようになったという。
これが現代の飛行機時代になって、大空を無事に飛び帰ったお不動さまなら空の安全にご利益があるだろうと、多くの人がお参りに訪れるようになった。さら に航空安全は「落ちない」ということで、受験合格にも通じるという理由で、受験生の信仰も集めるようになった。
今、境内の絵馬掛けには、二つの願いを書いた絵馬が多数掛けられている。飛行機が苦手の人と受験生に、参拝をお勧めしたい。
(掲載号:12月20日号)
