週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
色彩の饗宴 北原白秋の 東京景物詩
北原白秋に「花火」という作品がある。大正二年(一九一三)二十八歳で刊行した第三詩集『東京景物詩及其他』のなかの一編である。
<花火があがる、
冒頭から色彩が舞い、閃光が夜空に広がって散る経過まで写しとられているようだ。
白秋は明治四十二年(一九〇九)に第一詩集『
白秋は福岡県
上京当初は大学に近い牛込区(新宿区)
青年時代の借家生活が手伝いの女性を雇う豊かさで、友人の石川啄木は「婆や付きの下宿」と羨んだほど。その生家が破産して現金が不足すると、母が江戸時代の小判を送って来たという話がある。
白秋は明治四十一年十月から翌年秋まで神楽坂に住み、「物理学校裏」という作品を生んでいる。物理学校は現在の東京理科大学。近くの中央線はまだ汽車と電車の併用時代で、<汽笛が鳴る……四谷を出た汽車の
(掲載号:07月26日号)
