週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
数寄屋建築の 粋を楽しめる 成城・猪俣邸
500坪の敷地に建てられた建坪約100坪の瀟洒な日本家屋。その贅沢な住み心地を、ちょっぴり味わってみる。
小田急線の成城学園駅北口から徒歩約5分。旧猪俣 低住宅(世田谷区成城5-12-19)の居間に入る。南側の庭園に鬱蒼と樹木が茂り、時折遠くから電車の走る音が聞こえてくるだけで、都会の騒音を忘れて小鳥の 囀( りをゆっくり楽しむことができる。
昭和初年に成城学園が分譲した閑静な住宅街の一画、1861.7m2(564坪)の敷地に猪俣猛氏(元労務行政研究所理事長)が、昭和42年、建築家の吉田五十八( 氏に依頼して371m2(112坪)の木造平屋建ての数寄屋風家屋を建築した。
吉田の風変わりな名は父が58歳のときの子だったからだが、伝統的な数寄屋建築を近代建築として再生させた功績で建築家では初めて文化勲章を受章している。代表的な作品のなかには、料亭新喜楽、日本芸術院会館、成田山新勝寺大本堂、世田谷区内でも五島美術館、等々力の満願寺本堂・庫裡( などがある。また吉田茂、岸信介、梅原龍三郎など著名人の邸宅設計でも多くの名作を残している。
建築家の越後島( 研一は『現代建築の冒険』(中公新書)の冒頭で、各界の著名人が好んだ日本建築の「贅沢な空間」を体験できる場所として旧猪俣邸を紹介している。そこでは、ガラス戸や障子を開け放てば居間と庭園が一体になって、日本建築独特の開放感に浸ることができる。それは、石の壁に取り囲まれる西洋建築では味わえないものである。
越後島は、壁をほとんど意識させない日本建築の特徴を「
型」(屋根付き開放型)と表現する。猪俣邸は遺族が世田谷区に寄贈、せたがやトラスト協会が管理、無料開放している。四季の静かな変化も見所である。
小田急線の成城学園駅北口から徒歩約5分。旧
昭和初年に成城学園が分譲した閑静な住宅街の一画、1861.7m2(564坪)の敷地に猪俣猛氏(元労務行政研究所理事長)が、昭和42年、建築家の
吉田の風変わりな名は父が58歳のときの子だったからだが、伝統的な数寄屋建築を近代建築として再生させた功績で建築家では初めて文化勲章を受章している。代表的な作品のなかには、料亭新喜楽、日本芸術院会館、成田山新勝寺大本堂、世田谷区内でも五島美術館、等々力の満願寺本堂・
建築家の
越後島は、壁をほとんど意識させない日本建築の特徴を「
型」(屋根付き開放型)と表現する。猪俣邸は遺族が世田谷区に寄贈、せたがやトラスト協会が管理、無料開放している。四季の静かな変化も見所である。
(掲載号:07月22日号)
