週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
守屋教育会館 懐かしい 郷土資料室
東横線祐天寺駅東口から高架沿いの道を学芸大学方面へしばらく行くと、左手に目黒区守屋教育会館と区立守屋図書館が建っている。2つの建物の敷地は、台湾日日新聞などの社長と務めた実業家の守屋善兵衛氏の邸宅跡で、昭和15年、その遺志によって建物と敷地が区に寄贈された。
その結果、区では最初「守屋記念館」と名付けて集会所や図書館として利用した。戦後になって昭和37年、建物を改造、「守屋教育研究所」として教育調査・教材研究の機関や研修施設とした。さらに同46年、明治100年記念事業として現在の建物を建設し守屋教育会館と名を改め、図書館も隣接して設置した。
鉄筋4階の会館内には今、教育相談室や研修室などが設けられているが、1階の郷土資料室は教育関係者以外の人も興味を引かれるに違いない。
ここには、区のさまざまな歴史的資料が展示されている。昭和34年に刊行された『目黒区史』の編纂時に集められた資料を公開したのが始まりで、現在は縄文・弥生時代の土器、石器類から昔の農具、古文書類、戦前の民具、生活用品などが展示されている。
中には、少し以前には一般家庭でも見られた長火鉢やこたつやぐらなどもある。物資不足の戦前、これなしでは衣服が買えなかった衣料切符、太平洋戦争中、米軍の爆撃機B29から撒かれた降伏を勧めるビラなどという珍品も展示されていて、年輩者なら懐かしくも悲しい記憶がよみがえってくるかもしれない。
中庭には、植え込みの間に江戸時代の道標や石仏などが配置されている。それらにまじって、関東ローム層の下部から発見された6万年前の貝層から出てきたアサリ、ハマグリなどの化石で作った化石灯籠も立っている。
同資料室は見学無料、月曜日休館。
(掲載号:07月29日号)
