週刊誌コラム
週刊新潮「タワークレーン」
金比羅坂 世界唯一 寄生虫館
目黒の総鎮守大鳥神社横の目黒通りは、南西へ上り坂となっている。金比羅坂で、明治の初めまで大鳥神社西側の丘に金比羅さまが鎮座していたため、その名がついた。
『江戸名所図会』にも「金比羅大権現社」とあって「祭る所諸州象頭山金比羅神と同じ。当社を以って御城南鎮護神と称し奉れり・・・・」と記されている。
この名残の金比羅坂を上っていくと、左手に世界でただ1つの寄生虫の博物館・目黒寄生虫館がある。昭和28年、医学博士亀谷了氏が私財を投じて設立した研究機関で寄生虫の研究・資料・標本の収集展示・出版活動などを行っている。
一見、気味の悪い印象を受けるが、生物は互いに関係しながら生活していて、寄生虫はその関係が直接的になっただけと見ることができる。しかも、寄生動物の種類は全動物の6%、7万種に達するほどで、その研究、調査は欠かせない。
しかも、例外はあるが、寄生虫は宿主があるから生きていけるので、普通は宿主に害は及ぼさないものだという。だから、同館の1、2階に展示されているさまざまな標本や説明図などを見学していると、どこか寄生虫に親しみがわいてこないでもない。
もっとも、人間の腸粘膜に吸着していたという長さ8・8メートルもの大型サナダムシ日本海裂頭灸虫の実物標本の展示には一瞬たじろいだ。だが、これが寄生していた人には、自覚症状がほとんどなかったという説明が付いていた。
館内では、Tシャツやペンダントなどの寄生虫グッズも販売している。「ここにしかない品物なので、若い人に人気があります」ということでサナダムシなどの模様があるTシャツなどが結構売れているそうである。入館無料、月曜休館。
(掲載号:05月30日号)
